【3分でわかる】『ゲット・アウト』レビュー
あらすじ
黒人のクリスは、ローズという美しい白人の女性とお付き合いをしていました。
黒人差別がいまだに根強く残っていることもあり、白人の家庭に出向くことに抵抗感があったクリスですが、「うちの家族は差別主義者じゃない」というローズの言葉を信じ、彼女の家に遊びに行くことを決めます。
ローズの言葉通り彼女の家族は笑顔でクリスを迎え入れてくれますが、彼女の家にいる使用人は2人とも黒人であり、不自然なまでに常に満面の笑みを浮かべていました。
この家はどこかおかしい。
徐々にその家に対する違和感が強くなっていきますが、すぐに帰るわけにもいきません。
クリスは違和感を抱いたまま彼女の親族が集まるパーティに出席することになりますが、親族達から向けられる視線はどこか歪で、まるで珍しい生き物を見るかのような好奇心に満ちていました。
視線に耐えられなくなり会場から抜け出すと、ふと自分と同じ黒人がパーティーに出席しているのを見かけます。
嬉しくなり声をかけますが、その黒人もどこか様子がおかしいことに気づき、、、。
クリスが感じる違和感の正体とはなんなのでしょうか。
そしてクリスを待ち受ける運命とは。
続きは本作でお楽しみください。
みどころ
1)じっとりと付き纏ってくる違和感
表面上は彼に対して友人のように振る舞う家族達ですが、物語が進んでいくうちに、言葉の端々で彼を客人としてではなく、別の対象として扱っているかのような違和感を感じるようになります。
クリスに向けられる視線はまるで動物園の檻の外から珍しい猛獣を見ているかのような、そんな敵視とはまた違う差別的な意味合いを含んでいるように見えました。
そして、物語が進んでいくうちに、なんとも言えない違和感がはっきりとした恐怖に変わっていきます。
彼女の家族達はなぜクリスを家に招いたのか。
なぜ黒人である彼に対して、そこまで異常な興味を見せるのか。
その謎が徐々に紐解かれるとき、家族達の異常性が明らかになります。
ぜひ、じわじわと襲ってくる恐怖をお楽しみください。
2)『笑顔』の怖さ
この作品でたびたび登場する満面の笑顔。
顔は完全に笑っているのに、恐怖を感じるその顔は映画を観た後もしばらく頭から離れませんでした。
目は真実を語る、と言いますが、どんなに笑顔でも心の底で別の感情が渦巻いていればそれは違和感として相手に伝わります。
心からの笑顔でない笑顔はこんなに怖いんだなということを、この作品を観て改めて感じました。
言葉でどんなに上手く取り繕っても、心の底ではいまだに黒人への差別的意識が残っている。
時が経っても、そんな底知れない悪意がいまだにあることを、この作品が教えてくれました。
直接的なホラー表現はありませんが、じわじわと迫ってくる恐怖を感じれるとても面白い作品でした。
ラストまで目が離せないスリルのある映画なので、気になる方はぜひ一度ご覧ください。