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母と私をつなぐもの

15時のおやつに、家族4人でチーズケーキを食べた。

しっかりと焼き目がついていて、ずっしりと重みがあって、ざくざく甘めのビスケット生地で包まれていて。夫も息子も感激している。とっても美味しかったので、今年の私の誕生日には、ホールごと買いたいなぁ。好きな町にある、おいしいパン屋さんのチーズケーキ。

そういえば、ケーキなどの甘味は特に、おいしいものは食べ終えてしまうのが惜しい。スプーンで少しずつすくって、フォークで薄く切って、大事にだいじに食べるのが幼い頃からの癖になっている。

そうだ。小学生の頃、友達の家に遊びに行くときに母は、キャロットケーキとヨーグルトケーキを作ってお土産に持たせてくれた。私は母の料理をあまり上手とは思っていなかったので、キャロットケーキはパサパサしている気がしたし、ヨーグルトケーキの底に敷かれたビスケット生地は甘すぎて苦手だったな。

ま、このチーズケーキのようにはいかないか。


あぁ。北海道の自宅で、両親と兄と私とで夕食後に食べたフルーチェは、4人で分けるとほんの少ししか食べられないので、小さなスプーンでちょっとずつ口に運んでいたっけ。みんなが食べ終わるのを見届けてから、私だけの残りのフルーチェを楽しむ。「あんた、まだ食べてるの?」と笑われながら、無くならないでほしいな、終わらなければいいのにと、ずっと思っていた。

黄緑色のプラスチックボールに、よく冷えた牛乳と甘い液を入れて、大きなスプーンで混ぜて。八角形の小さなガラスの器に取り分けて。お父さんの分、お母さんの分、お兄ちゃんの分、megluの分。

終わらなければよかったのにな。


今日はチーズケーキの他に、コッペパンも買ったんだった。今流行りのふんわり柔らかパンでなく、よく焼いたパン生地に、自家製ジャム。なつかしいな、団地の下に毎週来てくれた移動パン屋さんの時と似た味がする。

私は子どもの頃、車酔いが酷く、どこにも家族旅行へ行けなかった。駅前の病院に通うためのバスに数分乗るだけでも、毎回嘔吐していた。お出かけの楽しさなんて知らなかったけれど、パン屋さんが毎週来てくれることで、私の心はルンルンと明るかった。我が家は裕福とかけ離れた家庭だったけれど、パンはたくさん買ってくれたし、病院にも小まめに連れて行ってくれた。

色んなこと、思い出せるものだね。お母さん。

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母は亡くなる前、私にメールを送りました。治療の結果はどうだった?夢に見たので心配で、と。けれど私は、その話に触れて欲しくなかったので気持ちが尖り、返信しませんでした。母からのそのメールも、削除しました。母は、返信がないことで結果を悟ったでしょう。数日経ち、治療が残念な結果だと確定した日の午後、母は亡くなりました。秋も深まる頃でした。

何年も続けてきた治療を全て辞め、仕事も休み、毎日を生きていくことさえ危うくなりましたが、家族に支えてもらい何とか踏ん張ってきました。そして、亡くなってから100日経った頃に、ひょっこりと母は戻ってきたのです。


新しい命を抱えて。


命は、つながるでしょうか。私はこの、お腹の中にいる鼓動を、無事に生んであげられるでしょうか。今度は、母の想いを素直に受け入れられるでしょうか。

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お母さん。ありがとね。

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meglu
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