いのちが生まれる時に -萌芽-
春が待ち遠しい北海道。田畑が広がる我が家の庭先。ちらちらと舞う雪の行方を、福寿草の蕾から顔をのぞかせた深黄が見守っている。
出産予定日の前夜に、陣痛は始まった。里帰り出産のため、そばに夫はいない。これから先は一人で頑張るつもりだ。十月十日、お腹の中で共に過ごしてくれた子は、予定日通りにこの世界に出てこようとしている。まっすぐで素直な子だろう。
痛む度、病室で我が子の頑張りを誇らしく思う。
ふと扉が開いて。目を向けると、コートやニット帽にうっすらと雪を乗せたままで笑う母。「