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【夫のターン】パラダイムシフト。FF 7 REMAKE、コロナがわれわれにもたらすもの

こんにちは。ヒロタアタルです。
書き終えて読み直すと、長く、なんだか重ための文章になったが、
お時間があればぜひお付き合いください。

今日はのっけから、おすすめの本を紹介する。
瀧本哲史『2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』(星海社新書)である。今回は積読からの選書ではなく、つい先日買った本である。

49歳で夭折した瀧本哲史氏が東大生相手に熱く語った「伝説の講義」を収録した本だ。若者たちが自立して考え生きていくための「武器」としての思考法、戦術が1冊に凝縮されている。さまざま心に残るものはあるが、自分にとっては意外で、とくに印象的だったのは「パラダイムシフト」の話だった。
「パラダイムシフト」は、そもそもトーマス・クーンが著書の中で使ったことばで、要はいままでの常識が覆って、新たな説に入れ替わることを指す。瀧本氏は「天動説から地動説へ」、「日本の刑法の根本思想の変遷」などを例にひいて、具体的に説明している。教科書などで歴史を学んだ私は、こうした変遷は天才などがひらめきを得て、それを周囲に説き伏せて、説得して覆したのだろう、という印象でいた。しかし、実は違うそうなのである。クーンが調べたところによれば、天動説から地動説への変遷は、ガリレオが周囲を、説得して覆したのではなく、じりじりと時を経て天動説を述べる旧時代の人が引退などして劣勢となり、地動説を唱える学派が優位となり変遷が思ったというのだ。つまりはパラダイムシフトとは、説得でもなく、論破でもなく「世代交代」の産物であるということだ。「パラダイムシフト」といえば、かしこく見せたいときに使いたいワードで1位、2位を争う存在であったが、要は「世代交代」のことだというのは、大いに意外であった。自分のアイデアがなかなか成果を得なかったり、自分の行動がなかなか認められないときに、「まあ、あの人は反対しているけど、そろそろ定年だからさ」という定型句の応酬を食らうときがあるが、この言葉こそ「パラダイムシフト」を示唆する賢人の辞であったということか。とにもかくにも、すべてがすべてうまくはいかないが、どんな偉大な学説も「世代交代」によって優位にたったという事実は、今を生きるだれもがパラダイムシフトを起こす可能性を内在しているという勇気を与えてくれるよい話であった。

つい先日買ったものといえば、『FINAL FANTASY 7 REMAKE』の話もせねばなるまい。
これまでのFFシリーズのリメイクといえば、ファミコンやらスーパーファミコンから、画像や操作性を高めてスマホに移植とか、あえてドット絵のグラフィックをそのままに「あのころの名作がスマホでできる」という打ち出しのものが多かった。

その点、今回のFF7は覚悟が違う。PS版のFF7を原作とし、まったく新たなゲーム体験をプレーする我々に与えてくれるものであった。原作であるFF7が発売した頃には最先端をいっていたポリゴンでの表現は姿を消し、まるで映画を見ているかのような美麗なグラフィックに変貌を遂げている。ゲームをしているというよりは、映画の中に入り込んで、その映画の一旦をプレーヤーとして自分が演じさせてもらっているような「参加型」の雰囲気がある。展開される会話も、戦闘もすべてシームレスで展開され、ストーリーへの没入感が半端ない。有り体にいれば、「控えめにいって最高」という評価になる。

しかし、ネットを見ていると、批判のレビューも散見される。今回のFF7は今回発売したものだけでは終わらない4分作での展開が発表されている、この4分割で売り出すことに批判を向ける評である。たしかに、同一のゲームが1つのパッケージで終わらないことにコストなどの面で批判があるかもしれないが、一度プレーをした人であれば、そのクオリティの高さに、4分作での展開もしかたなかろうとの結論に至る人も多かろうと思う。この批判を見て、先に述べた「パラダイムシフト」の話が頭をよぎった。新たな挑戦には守旧派などの批判はつきものである。FF7に批判を向ける人のお立場はわからないものの、FF 7 REMAKEが名作に上り詰めるために必要な批判であろう。製作陣が目指すは原作のファンの充足のみならず、それ以上に新たに手にとった若い人々を満足させることである。守旧派の批判を跳ね除けて、あらたなゲーム体験を楽しむプレーヤーたちの賛辞が優位に立つ日は近いと思われる。FF 7 REMAKEはゲーム体験の「パラダイムシフト」を予感させる魅力が満載されている。コロナ禍の自宅待機のお供にぜひおすすめしたいゲームである。

 「コロナ禍」といえば、これが運んできた急な「在宅勤務」もわれわれの意識を変えそうである。通勤なし、会議なし、あってもzoom会議などなど、1年前には想像もしなかった状況が生じた。この事態が安定、収束したあとに、われわれはまた元の立ち位置、発想に戻れるのか、戻るべきなのか。なんらかの「パラダイムシフト」が生じるのは必至ではないかと予感している。その話はまたいつか、別の話で。

 長くなったが、瀧本哲史氏の『2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』は今後もさまざまな事を考える際に、頭をよぎることになるだろう印象的な1冊であった。

2020年4月吉日
ヒロタアタル 拝 
 


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