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ラジカル | 読書『オーデュボンの祈り』

私の伊坂幸太郎作品との出会いは実は本ではなく映画だった。重力ピエロの映画を観て、世界観に魅了されてから小説を読んでみた。そしたらあっという間に伊坂ワールドに引き込まれた。

この作品は伊坂さんのいわばデビュー作。この作品に触れると伊坂さんファンとしては、ここに伊坂ワールドのルーツが詰まっているように感じる。勝手ながら、まさにこれはエンタメなのか、ミステリーなのか?伊坂幸さん独自の型が確立した代表作だと思っている。

私は桜の存在が強く印象に残っている。

法ではなく情で人を裁く、しかも判決は死刑のみ、そして即決。

極論すぎるけど最後のシーンでは桜の存在により、正義が救われた。法律で裁くことの中での矛盾というか隙間を埋めるにはどうしたら良いのか?それを考えて考え抜いた挙句、著者からの1つの提案として受け止めた。現実世界では全てを白黒つけるのは難しい。著者の正義は勝つというテーマに温かみのあるストーリーが毎回クセになる。

また、リョコウバトのエピソードは感慨深い。人の熱狂、執着が時に狂気と化す。

カカシが喋る、そしてそのカカシが「殺される」ところを起点にストーリーが展開するという奇抜な設定から、駆け出しの伊坂さんの作品に込める情熱が溢れている、と勝手に想像する。

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