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最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 (新潮文庫)

コミカライズ1巻を読んで、とても面白かったので原作を買ってみました。

キーとなる言葉解説
美校、音校:異能者たちを振り分けた2つの異世界。
                         主に上野動物園の隣りに重力場がある。
藝祭:毎年9月にあるらしい。
            色々な事柄が、全く違う次元に突き抜けている学園祭。
ふいご祭:金属加工などの学生さんたちが使う工具「ふいご(鞴)」。
                     年に1回、その神事(?)が行われる。神主さんも巫女さんも学生。

本の要点
文化芸能芸術を真面目に学問として捉える学府に棲息する方々を解説している。
東京藝大は、古音楽からプロジェクションマッピングなどのITを駆使した現代的な領域までカバーしている、捉えどころが難しい大学。東大よりも入学が難しいとされる。1~3学年合わせて学生1人という専攻も存在し、一般ピープルが思い描いているキャンパスライフのビジュアルとは、一線を画す。そんな学校だからこそ、初見さんにはコメントすら出てこない(だろう)芸術作品ができるのかも知れない。何が表現できるかを最大限に突き詰める事になんの躊躇いもないし、その作品に費用対効果を算出する事もしないだろう(音校のリサイタル等では、どうなんだろう?もっと調べてみたくなる)。作品のために集団生活している学部もあるし、活動の為に親知らずも抜けない学生さんもいる。

芸術は、実生活に必要不可欠ではない。
でも彼らはきっと、コレがないと生きていけないし、彼らには空気と同じくらい大事で「あって当たり前」な要素なのだと定義したくなる。
芸術とともに生活し、磨き上げていく彼らの拘りと凝りは、万人に理解されない(本人しか理解と納得できないモノもあると思う)。

ターゲットとしてる人達
性格的に幅がある人々を観察したい、珍人間の観察を趣味としている方々。
人間観察の大好きなシンガポール人などのアジア系の(家族以外に)おおらかな人々は好きだと思う(たぶん)。
また、はっちゃけた個性が大好物な国々では受けそう。

心に刺さった内容
何年かに1度、天才が出れば良い。
美校の卒業生は、就職すると「芸術を諦めた人」という認定が下るらしい。卒業生はだいたい音信不通という事実が重い(自分には)。

2021年10月読了

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