枯渇したマインドを潤すために、思わず(薄い)本を求める人々はブックハンターと呼ばれる。そんなライフスタイルは、実は15世紀から存在する。
溺れるような業務の日常に疲れた時、枯渇したマインドを潤すために、思わず(薄い)本を求める人々はブックハンターと呼ばれる。そんなライフスタイルは、実は15世紀から存在する。
ルネサンスの幕開けとか、権力渦巻くカトリック教会とか、中世ヨーロッパ史などよりも、本は、渇望されるのだよ。というお話し。
(個人的には、とても大事)
キーとなる言葉解説
ポッジョ(ブックハンター):
主人公。当時のローマ法皇の秘書官(社畜)として活躍。
仕事ぶりは優秀だが、あくまでも仕事として職務をこなし、カトリック
の位階は受けない少数派だった(きっと飲み会不参加な人物)。
趣味は、文通での論破バトルと本探し。
権謀術数はびこる職場環境に疲れると、
「そうだ、京都にいこう」
なスタンスでコミケ会場ではなく修道院をめぐる。
修道院(中世):
苦行を求めるカトリックの精神を凝り固めた場所。
本の内容に関係なく(ココ大事)、退屈な写本作業を修行の一端とした。
文化人類学:
物事のルーツ(本に書かれたモノ)を、凡人には理解できない行数&冊数
で極めようとする学問。コレぞ「学者」。
ポッジョ登場から、ルネッサンスの根幹の思想を生み出したルクレティ
ウスというギリシア人まで辿り着き、そこからどう発展して15世紀のカ
トリック階層や社会史までを詳細に説明しながらいくと、ポッジョは、
ストーリーの導入によく居る「ほぼモブ」に近い立ち位置になる。それ
くらい、読んでいてついボッジョを求めてしまう自分の弱さに気付く。
ポッジョ、お願いだ。登場して、この解説を止めてくれ。もうお腹いっ
ぱいなんだ。ポッジョ、一体どこの会場まで本探しに行ってしまったん
だ。。。そんな妄想に取り憑かれるくらい、解説が長い。
ブックハンター:東京ビッグサイトにも、15世紀の修道院にも出没する。
本に癒しを求める人々。
本の要点
ローマ教皇に仕えた仕事人の趣味が、キリスト教社会の根幹を揺るがすルネッサンスを導き出すトリガーを引くことになる。ただ彼は、現代にも通じるツマラナイ仕事で頑張る自分に疲れ、趣味のブックハントで己を労わろうとしただけ。
SNSを駆使した現代のように、学術論なのか政治論なのか理想論なのかよく分からない主張をペンパルと議論を展開してただけ。ただそれだけで、現代へと続く、(宗教に反しても)知りたい事を探求しても良いという、学問の礎を築いてしまっただけなのだ。
ターゲットとしてる人達
ルネッサンスの起点「x」の探究者。15世紀ヨーロッパの日常や常識に興味がある人々。
ブックハンターのルーツが知りたい人。
心に刺さった内容(本文ではないけれど)
ルネッサンス。現代へと繋がる学問や芸術の考え方、捉え方の地位をバク上げした事象。現代日本では、世界史の暗記単語の一つ。
きっと日本に生息する数多の学生から、芸人のギャグとしか理解されない(悲しい)単語。
ただそれを引き起こしたポッジョ自身は、その真価(ギャグも)を知らずに生涯を終えている。
読了:2021/7,6月ごろ