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第三話 見事に落ちる音がした
ピピピピ。ピピピピ。
目覚まし時計の音がこだまする。これがぼくの朝のはじまりの合図。
眠い。眠すぎる。あと5分。あと5分眠らせてくれ目覚まし時計。そんな願いなんて届くはずもなく、一向に鳴り止まない目覚まし時計を止める。微睡む余地もなく、眠たい体にムチを打って体を起こす。
何を言おう、目が覚めてから家を出るまでの時間は10分もない。まず歯を磨く。次に寝癖を治す。その勢いでスーツに着
第二話 偶然の再会と不思議な夜
結局、職場に到着したのは就業時間の10分過ぎた頃だった。びっちゃびちゃの服を引きずりながら、遅刻の理由を伝えに行く。上司に遅刻の旨を話すと、全くお前はいつもギリギリで、ついに遅刻じゃないか。たるんでる、社会人なんだから早起きしろ。とまぁこんな感じでお叱りを受けた。
はぁ、ついてない。いつもならとっくに仕事を始めているのに、なんで説教を受けているのか。適当に相槌を打ちながら全力で現実逃避をしてい
第一話 そこはかとなく胸糞悪い出会い
2月1日。1年で1番嫌いな月が始まる。生まれて22年がたとうとする年のこの日、ぼくは彼女に出会った。それは、昨夜の雨により凍結した、路面の上での事だった。
低血圧故に寝起きの悪いぼくの朝はいつも忙しい。到着予定時刻の20分前に起き、10分で支度をしてものすごい勢いで自転車をこぐ。その日はいつも以上に急いでいた。
夜中に降り始めた雨は、起きた時には止んでいて、それはもう気持ちの良い快晴だった。し