「星は嘘を申しません。」 「だが、おぬしは星じゃあない。それに人は誰しも嘘をつく。」2020/06/04
次女の誕生日に休業していた近所の書店再開の報せをもらい、なんとなくいい感じの日だった。次女の希望で桃鉄大会が開催されたのだけど、我が家の桃鉄はWii用の2010年版、もはや長らく稼働していないWiiは桃鉄をやるためだけに存在している感じなのだが、3年対決モードを久しぶりにやったらなかなか楽しい。接待プレイ無しで普通に優勝してしまい、次女が不機嫌になってしまったのだが、直接の原因はゴール駅目前の次女に対して長女がオナラマンをけしかけ、遠くに飛ばされてしまったことで、思い出すとちょっと笑える。冬に発売予定らしいSwitch版の発売が待たれる。
軽い気持ちでレーモン・クノーの『青い花』を読んでいたのだけど、これがまた不思議な小説で、なにせ2人の主人公が、眠るたびに切り替わり互いを夢見ているような話で、途中自分もこんがらがってうとうとしていたりしながらなんとなく読み終わってしまい、そのままもう一度、2周目を読み始めている。いろんな言葉遊びが詰め込まれていたり、数字の「7」にまつわる仕掛けが随所に盛り込まれていたり、お話の奔放さに対して、細かな設計がなされているらしく本当にクノーってヘンテコな作家でおもしろい。
「いちいち、くそうるさい人だなあ! あんたのような、くそうるさい人とは会話が成り立ちませんよ」
「でも、ひとつ会話を成立させましたよ、とても面白いのをね、キャンパーがキャンプするキャンプ場を見て、こんな省察がなされるなんてめったにあることじゃないよ、テープレコーダーに吹きこんでもいいくらいのね」
「テープレコーダー、ハナノアナぶー」見学していた男は嫌気がさし、そんな言葉をぶつくさ言いながら立ち去った。
レーモン・クノー『青い花』P.44 - P.45
会話もこんな調子で、いわゆる普通の文章をイメージしていると面食らうのだけど、あまり難しいことを考えなければ愉快。「ハナノアナぶー」とかこどもが意味もなく笑いそうだなぁ、なんて思っていたら、そういえば数少ない通読できなかった小説のひとつである『フィネガンズ・ウェイク』はこどもに見せるとゲラゲラ笑うなんてのをどこかで読んだな、なんてことを思い出した。
「星は嘘を申しません。」
「だが、おぬしは星じゃあない。それに人は誰しも嘘をつく。ありふれたものだ、嘘はな。」
レーモン・クノー『青い花』P.144
馬鹿馬鹿しい会話の合間にちょっと箴言めいたものも出てきたりするのだけど、このインチキ占星術師とのやりとりも極めてヘンテコで、なんかこういうヘンテコなものに触れると気分が軽くなる。まぁ色々あるけど「ハナノアナぶー」だな。