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人はね、自分がちょっとすごい人間と思っているものなのよ。そんな人たちの夢の物語まで我慢して聞かなくちゃならないとしたら、もうきりがないわ。 2020/06/05

 少し出社して仕事しようかと思っていたのだけど、別に家で全部できるんだよね、と考えるとわざわざ行くことの非合理性が際立ってしまって自宅でひたすら仕事していた。金曜日ともなると1週間のドタバタの集積地隊なわけで、それなりに洗濯物がたまっていたり、家が散らかっていたり、ご飯を作る気力が残っていなかったり、する。

 保育園のお迎えのついでに、昨日再開した近所の書店に立ち寄ってみると、やはり何とも懐かしい感じがして嬉しい。岩波書店から出ているガラン版の『千一夜物語』をいつか買おうと思っていたのだけど、完結したことだし、お店も再開したことだし、買うなら今が絶好の機会だろうと思い、まとめて買って帰った。

 e-honで頼んでいた本も引き取ってきたのだけど、正直その中の1冊は何で頼んだのか思い出せなかった、その程度には自粛期間が長かったということなのかもしれないけれど、書店で自由に本が買えるというのはとても幸せなことだ。

 レーモン・クノー『青い花』の2周目はずいぶんしっくりきた感じがする。どちらがどちらを夢見ているのかはわからないけれど、歴史を旅するオージュ候と一点に留まるシドロラン、互いを夢に見る二人がすれ違う、言ってしまえばただそれだけの話なのだけどなかなかない珍味だった。

 人はね、自分がちょっとすごい人間と思っているものなのよ。自分のしていること、自分の存在が。何かしらのものだって思ってるの⋯⋯だから、おまけに、そんな人たちの夢の物語まで我慢して聞かなくちゃならないとしたら、もうきりがないわ。
レーモン・クノー『青い花』P.150

 おいおい今読んでいる全編、夢の話を書いてるのお前じゃんというところが二重にシニカルで面白いのだけど、評価制度関連のなんかの本で、自己評価は大体3割くらい高いらしくって、ほとんどの人が自己評価との乖離に対して不満を持つ要因なんだそうな、なんてことを思い出した。何かしらのものであると思ってしまうことも、何かしらのものになりたいと思ってしまうことも、どちらもほとんどの人にとってはそんなことないからね、っていう苦い現実を突きつけるだけなような気がするのだけど、それでも思ってしまうところが人間の面白さでもあるのかもしれない。

 夜は簡単にすませたくてケンタ買った。蒸し暑くて寝苦しい。



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読書好きな会社員
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