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私の知るかぎりでは、人生は偶然の十字路であるがゆえにすばらしい。 2020/06/07

 昨日の早寝がいい感じで、4時半頃に起床。すこぶる調子が良い気がする。戻ってきた。ヤクルト1000を飲み、珈琲を淹れる。至福の読書時間だ。まずは読みさしの『グイン・サーガ』を読了。

 前巻にその萌芽はあったのだけど、この巻から急激に女性から男性へのパワーの移行というか、パワーバランスが崩れるというか、ジェンダーバランスが一般的な方向に雪崩れていくというか、そういう感じがしてきて読んでいてどうしたんだろうという違和感を感じた。男勝りの氷の公女アムネリスは、そのプライドをへし折られ、恋に落ちた、というよりはアルド・ナリスという男に屈服させられるし、パロの双子にしても、これまで頼りなかった弟の成長と覚醒を示唆しながら、姉の言動がやや独りよがりで愚かなものとして描かれてきており、なんというか急激に女性の描かれ方が、よくない方向に変化してきてしまっているのがとても気になっている。

 「認めなさい、アムネリス。モンゴールなど、所詮パロの敵ではないと。認めなさい。あなたは私が恐しいのだね。半信半疑のくせに、私がこのスイッチを押して、さっき云ったおどしを実行してしまいはせぬかと、心の中では死ぬほどびくびくしている。魔道も超科学も信じない、自分の目でみたものしか信じぬと大見得を切ったくせに! どうです。云いなさい。云えば許してあげる。恐いのか。私が恐いか?」
 「ナリスさま――ナ……ナリスさま……」  アムネリスは激しく喘いだ。  恐怖と、そしてかつて知らなかった圧倒される惑乱が、彼女をとらえた。彼女は管の中で、両手をもみしぼり、いまにも呼吸のできなくなるような怯えにとらわれて、その両手をたかだかとさしのべた。
 「出して下さい。許して、お願い、許して」
 「とうとう、云ったね」  やさしい、冷たい声が云った。
栗本薫『グイン・サーガ 7 望郷の聖双生児』Kindle版 1500

 その後エリック・ホッファーの『波止場日記』を読む。いつも沖仲仕としての仕事に関しても軽く触れられていて、玉ねぎの荷積みを8時間、とか簡潔に書いてある。これを休日に読んでいるわけだけれど、そもそも休日を生産的に過ごすとかはあまり考えたくないのだけど、あまり長期の閑暇が欲しいかというとそういうわけでもない気がするけれど、まぁやってみないとなんとも言えないなどと思いながら読む。

 今日で、六日連続して仕事。先週の水曜日の仕事始めより今の方がずっと元気があるようだ。もしかしたら、毎日働き続ければ、疲労のサイクル、疲労曲線がわかるかもしれない。働きながら疲労を克服することさえできるかもしれない。頭の回転がどうなるか、予想するのは難かしい。長期にわたっ て休んでも、刺激にはならなかった。なにかくらいつく問題がないかぎり、また、考え直したり検討を加えたりする原稿がないかぎり、閑暇が生産的なものになるという保証はない。ためしてみて結果がわかってしまうのを恐れてさえいる。
エリック・ホッファーの『波止場日記』P.57

 仮に長期の閑暇があったとしたら、と想像してみても、思い浮かぶのは変わらず本を読むんだろうな、ということくらいなのだけど、くらいつく問題があるわけでもなく、おもむくままに読んでいるだけなのでやはりあまり生産的ではないような気もする。

 偶然というものがなかったら、人生はどんなに味気ないものになるだろう。祈りや希望は皆偶然を求めているのである。現実にどこかに向っているとの感をわれわれに与えるのは、ほとんどの場合、時機を得た偶然のできごとである。私の知るかぎりでは、人生は偶然の十字路であるがゆえにすばらしい。
エリック・ホッファーの『波止場日記』P.83

 確かに人との出会いなども偶然の十字路であるなぁとは思うので、ありがたい偶然をありがたく思って穏やかに過ごしていきたい気分にはなったけれども、まぁ実際はそこまで達観した感じでは生きられないし、忙しくなればそんなものは吹き飛んでしまったりもするからなぁ、と身もふたもないことも思うなど。

 3ヶ月以上ぶりくらいに外食をした。懐かしい。美味しい。

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