おしゃれとは生き方の問題であり、その本質は結局、自分が自分らしくいるかどうかだと思うのです。 2020/09/29

 出社。すると、ドタバタする。9月は100キロ走れそうだったのだけど、月末に忙しくなって失速、多分、無理。

 頭の中が仕事っぽい気分なのと、改めてファッションのことを考えたりしている気分なので栗野宏文『モード後の世界』を読んだ。ユナイテッド・アローズの創業メンバーでクリエイティブディレクションを担当してきた人。

確かに、ファッションとトレンドは密接な関係があります。でもトレンドは「結果」。つまり、赤やピンクが流行ったというのはあくまで結果にすぎません。そして「トレンドをつかむのがうまい」というのは、悪く言えば、パクリがうまいということです。知的財産権専門の弁護士がファッション業界について調査し「トレンドという名のパクリが正当化さている世界を感じた」とコメントした配事を読みましたが、これは否定できないと思います。
栗野宏文『モード後の世界』P.26

 パクリでトレンドを語る偽物と、自らの価値観を世に問う本物のクリエイターとの差は大きいのだけど、そのクリエイティビティや才能がマスには伝わりづらい世の中になってきてしまっているような気もする。洋服が工業製品になってしまった感じ。

 今となってはほとんど知られていないと思うのだけど、アローズは最初WORLDが出資していたんだね、ということも知った。

UAはもともと、社長の重松がワールドを創業した畑崎廣氏からサポートを得てスタートしたベンチャー企業です。僕は当時、バイヤー兼プレスチーフ兼販売員兼常務取締役という立場で、クリエイティブ面を全面的に任されていたので、マネジメント面のディープな状況までは語り得ませんが、いずれにせよワールドには多大にバックアップしていただきました。一号店もワールドの土地に建てたものでしたし、最初のオフィスもワールドの持ち物でした。
栗野宏文『モード後の世界』P.64

 UAはもちろんすごいけど、WORLD凄い、という感じがした。そこから新たなものが生まれてきたっていうのは本当にすごい。新たなことをしようとする人たちを支援して成功させるってベンチャーキャピタルみたいなことを大手のアパレルはかつてやっていたんだなぁ、と。それはとても面白い業界だったんだろうなぁ、と思う。残念ながらだったんだろうなぁ、という過去形としてしか感じられないというのも正直な気持ちなのだった。

 おしゃれに興味を持つということは、自分ときちんと付き合うこと、自分を見つめるということです。それができる人は、他人に対しても同じようにきちんと向き合えるでしょう。逆に格好やルックスだけきれいにしていても、自分と向き合えていなければ、人との接し方、人に対しての自分の出し方、あるいは人が表現しているものの受け止め方も浅くなってしまいます。ですから、おしゃれとは生き方の問題であり、その本質は結局、自分が自分らしくいるかどうかだと思うのです。
栗野宏文『モード後の世界』P.112

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