帰り道で、詩は志であり、死である、という朱自清の言葉を思い出しました。他人の言葉を思い出すだけの頭脳が歩いていました。 2021/04/11

 プールの送迎の前に、娘二人とお茶することにした。黙々と読書。長女がプールに行ってる間、次女と近くの公園で待つ。

 ブランコが相当好きなようで、ひたすらブランコに乗っていた。ブランコに揺れる次女を眺めていたら、振り子のようで、今読んでいる高橋順子『夫・車谷長吉』にも柱時計を貰うエピソードが載っていたせいだろうか、祖父母の家にある柱時計のことを思い出した。

 毎時、ぼーん、ぼーんと音が鳴る。子供の頃、夜中に目が覚めてしまい、眠れぬままボーっとしていると、ぼーん、ぼーん、ぼーん、ぼーんと鳴って、なるほど、4時なのかと知るのだった。

 昼飯と夕飯の買い物をして帰る。ふるさと納税で届いたねぎとろがあったので、少しだけ刺身を買い足して手巻きにしようとなったのだが、ほぼありあわせのもので食べているだけなのに手巻きというと少し豪勢な感じがするから不思議だ。夜はすき焼きが食べたいと思い肉を買って帰った。併し割下を買うのを忘れた。車谷長吉は「しかし」を「併し」と表記する。だから真似してみた。

 日本酒とワインをちゃんぽんしながらゴキゲンに過ごし、午後は近所の書店へ。久しぶりに行ったので豊作だった。前回取り置きした本を買って帰るはずが今回選んだ本が多くて、あまり買えなかった。併し、満足している。

 帰りに割下を買うべくスーパーに立ち寄り、小腹が減っていたのでコロッケも一緒に買った。100円のコロッケがもたらすささやかな幸せ。100円で2つも入ってる。おいしい。

 コロッケといえばソースだけれど、世界はウスター派か中濃派に二分される中で、自分は圧倒的な中濃派なので、中濃ソースをかけて食べた。高濃ソースと言うのはないんかな、と思って調べてみたら、それは高濃ではなく濃厚ソースと言うのだそうで、一般的にはとんかつソースの名称で流通しているもののようだ。とんかつソースと言われると、用途があまりにも限定されたネーミングで少しかわいそうな気がする。

 帰り道で、詩は志であり、死である、という朱自清の言葉を思い出しました。他人の言葉を思い出すだけの頭脳が歩いていました。
高橋順子『夫・車谷長吉』P.43

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