「偉大な人物は常に不幸で、偉大なほど不幸だって書いてある本を読んだことがあったんです。わたしはそんなはずないって思いました。でもたぶん本当なんですね」 2020/07/26
連休最終日、今年は梅雨らしい梅雨というか、雨が多い。雨の合間を縫って、久しぶりにディスユニオンに行き、クラシックのボックスを大人買いしてみたのだけど、20世紀のマエストロたちのボックスが、もともと恐ろしく値崩れしているところに、中古だとさらにお安いわけで、なんというか衝撃を受けた。
カラヤンのEMIなんて1万円だし、アーノンクールのいかついセットも8000円とかだし。1枚あたり100円とかでしょ、レンタル以下の単価だと思うと恐ろしい。まぁ今の時代にあえてパッケージを買う意味あるんかいな、ということなのだけど、コツコツとApple Losless形式で読み込んで構築してきたデジタルオーディオ・ライブラリーがあってなんだかんだそれが使い勝手良いので未だに買い続けている。しかし、タイムマシンがあるなら、学生時代の自分にプレゼントしたい。本もCDも。時間だけはたくさんあったからな、などと思う。
稲垣理一郎/Boichi『Dr.STONE』やアイン・ランド『肩をすくめるアトラス』を読んでいるけれど、少しペースが落ちている。アトラス面白すぎて、丁寧に読んでいる、という方が正しいのかもしれない。
「さあ、それは邪悪で不正で痛ましいことかもしれない。だが、それが社会に生きるということです。必ず犠牲になる者がいる。きまって不当なかたちで。人のなかで暮らすというのはそういうことです。一人の人間に何ができます?」
アイン・ランド『肩をすくめるアトラス』P.308
なんというか、社会の中で生きていくこと、働くことの意味を問いかけてくるというか、世の中の矛盾や非合理を突きつけてくるというか。それも別に大上段に構えて理想を唱えてくるわけではなくてそういうものとして描いてくるから考えさせられるのかもしれない。一人の人間に何ができるか??少なくともご飯を作れるようになってきたことはこの3、4年の大きな進歩だと思う。
「えっと。つらくなると自分に言いきかせるんですーーあさましいノミみたいないろんなものにいつも噛みつかれているような気がしないところへ逃げ出さなきゃ、ってーーでもたぶん、どこも同じなんですね。ノミが大きくなるだけで」
「ずっと大きくなる」
娘は考えこむようにおし黙った。「おかしなものですね」彼女は自分の頭に浮かんだ考えに、悲しそうにいった。
「何がおかしいのかな?」
「いちど、偉大な人物は常に不幸で、偉大なほど不幸だって書いてある本を読んだことがあったんです。わたしはそんなはずないって思いました。でもたぶん本当なんですね」
「きみが考える以上にね」
アイン・ランド『肩をすくめるアトラス』P.421
なんとなくだけど、社会的地位や金銭の多寡は個人の幸福とはあまり相関しないーー年を経るにつれそんなことをひしひしと感じているような、そんなことを思いながら1巻読了。ちなみに、読んでるとなぜか仕事やる気になる。