あの頃の私に帰れる音楽/ドビュッシー「月の光」
あぁ、この曲聞いたことあるなあ。
そう思った瞬間、僕は中学生の頃の自分に戻っている。
時間を忘れて没頭していたテレビゲーム。
その中で流れていたメロディ。
夢中になって画面越しの世界観に魅了されていたあの頃の僕。
それを思い出させてくれたのはドビュッシーの「月の光」だった。
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ここ最近はクラシック音楽がお耳のお友達。この前は、ショパンの「別れの曲」に心動かされちゃう自分がいたけれど。
どうしてこの音楽に心動かされるんだろう/ショパン「別れの曲」
他にも胸がいっぱいになる曲がありまして。それがドビュッシーの「月の光」。
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1997年、僕が中学生だった頃に発売されたプレイステーション用ソフト「moon」。このゲームの中で主人公のおばあちゃんの家でBGMとして流れていたのがドビュッシーの「月の光」だったんすよ。
このおばあちゃんがかわいくてね。ベッドで休ませてくれたり、体力を回復するクッキーを持たせてくれたりするのよね。
ゲームを始めてまもなくは主人公の体力がとても少なくて、おばあちゃんの家のベッドで休むことで全快できる。だから、冒険するフィールドとおばあちゃん家とを何度もこまめに往復することに。疲れたら、やばくなったら、おばあちゃん家。
疲れてヘトヘトになっておばあちゃん家のドアを開ける。そこでやさしく流れていたのがドビュッシーの「月の光」だったというわけです。
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当時はクラシックの名曲だなんて知らなくて、このゲームが初めての出会いだもんで。僕にとってはこの曲は疲れた体を回復してくれる・傷を癒してくれる音楽だと覚えてしまっていたのよね。
でも、改めて聞いてみると、そのイメージは間違ってないなあって感じる。
「月の光」というタイトルを知ったあとで曲を聞いて想像されるのは、川面に映る月の淡い光、たゆたう水面に反射する月明かり。郷愁、懐かしさ、休息、憩い、安らぎ…
この曲を聞いて胸がいっぱいになるのは、中学生の頃の自分に帰ってその時代を思い出せるから。そして、曲の終わりとともに戻ってきてみると、満ち足りている自分がいる。
あの頃に帰って、また戻ってくるだけであたたかい気持ちになれる。
たぶん、子供の頃の僕に出会えるからだと思う。
あのときに感じていたワクワク感や楽しさ・驚き・うれしさを大人になった僕が一緒になって、いいよねって味わえるからだと思う。
僕にとって「月の光」という音楽は、ゲームの主人公と同じように「回復の音楽」として刻まれてるんだなって思った。
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