自分以上に自分のことを信じてくれる人
この世界には誰も自分を理解してくれないと思うとき、人は消えてなくなってしまいたくなる。
ってことは、逆を言うと、ひとりでも自分のことを分かってくれる人がいれば自らを消し去ることなく生きていけるのだろう。
私が私のことを信じられなくなっても、それでもなお、私のことを信じ続けてくれる人がいる。
私が私のことを嫌いになっても、そんなことお構いなしに、私のことを理解し続けてくれる人がいる。
自分以上に自分のことを信じてくれる人がいる。
ただそれだけのことが人に生きる勇気を与えてくれるんだなって思ったんだ。
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39歳という若さで若年性認知症と診断されるも、認知症を悔やむのではなく、認知症とともに生きたい。そう想いをもって仙台を中心に講演活動などをしている丹野智文さん。
つい先日お話を聞かせてもらってからというもの、興味があって調べていたら「NHKハートネット」の動画に辿り着いた。
このなかで丹野さん以上に心惹かれてしまったのが若生栄子さんの存在。
丹野さんの活動パートナーであるこの方の思いの吐露とそれを受けてのブレンダさんのメッセージに自然と涙がこぼれちゃったのよね。
若生:丹野さんは今、こうして元気に働いていろんな講演もしていますが、一度、彼に聞いたことがありました。もし万が一、病気が進行して、今と違う姿、状態になったときに、「今と同じようにみんなの前で、自分の思いを話すことができるの?」って。丹野さんは、答えなかった。私は、そうなったときは、どういう立場で彼に関われたらいいんだろう?
ブレンダ:「あなたがそこにいる」ことが何よりも大切なのです。大事なのは、一緒に歩んできたことから生まれる信頼です。あなたが丹野さんをよく理解していることは、あなたの身ぶりやまなざしを見れば分かります。そんなあなたがそばにいて「私はここにいますよ」と伝えれば、身ぶりや笑顔だけでも気持ちは通じあいます。未来は誰にも分からないので、お互いにそばにいることが大切なのです。
当事者はもちろんだけれど、一緒に伴走するパートナーもたくさん悩んでいるんだなと。悩むのは相手のことを真剣に誠実に考えているからこそだろう。その気持ちの深さに胸を打たれた。
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たぶん、かつて僕をあたたかく励まし続けてくれた人の姿と重なったからだと思う。
いつもいつも言葉をかけてくれた優しい人。
ここしばらくは連絡をとっていない。理由はいろいろあるけれど、今はその人を頼ってしまうタイミングじゃないような気がしていて。
ただ、とは言っても、苦しいときつらいときはいつもその人の言葉を思い出しては励まされていた。力をもらっていた。
その人が教えてくれたことのひとつに「前提」の大切さがある。
「あなたのなかに力が備わっている」という前提で関わること。
そう信じて臨むこと。
そこに根拠はない。ないけれど、ただただ信じる、という前提でいること。
最初は言ってる意味がほとんど分からなかった。
今でもほぼ理解できていないかもしれない。
けれど、今になって思うのは、ブレンダさんが若生さんに投げかけたように、信じてくれる人・理解してくれる人が「いる」ということがなによりの助けになるんだよね。
「あなたがそこにいる」ことが何よりも大切なのです。
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自分を信じる以上に自分のことを信じてくれる人がいる。ただそれだけのことが人に生きる勇気を与えてくれるんだなって。
私が私のことを信じられなくなっても、それでもなお、私のことを信じ続けてくれる人がいる。
私が私のことを嫌いになっても、そんなことお構いなしに、私のことを理解し続けてくれる人がいる。
なんなんだろうね、この安堵感は。
なんでだか分からない、分からないけれど、きっと大丈夫だと思えてしまうから不思議なのよね。
己れの努力と頑張りとがあったからこそ今の自分があるのだと、思っていた。けれど、その努力できる・頑張れるというのは、努力も頑張りもなかったとしても信頼してくれる人がいるから成立しているんだなと。
今になって気づかされた。