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待ってましたの『国宝鳥獣戯画のすべて』展@東京国立博物館

再開された『国宝鳥獣戯画のすべて』展に行くことができました!
緊急事態宣言で、また休館のまま閉幕してしまうのか……と半分諦めていましたが、会期延長と毎日夜間開館というありがたい措置が。
人気の上に残り少ない開館日数とあって、チケットを取るのは少々大変でしたが、無事に鑑賞できてよかった。

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最も楽しみだったのは、絵巻を全編通して見られるという点。
絵巻の場合は大概が一部分の展示で、前後がどうなっているのかを見たくて仕方なくなるんですよね。
甲巻を動く歩道で見るしかけも面白かったですし、乙・丙・丁巻も全てじっくり見ることができました。

謎だらけの絵巻『鳥獣戯画』

「絵巻」と呼ばれていても、彩色も詞書もない鳥獣戯画。
お寺で大切にされてきたわけだし、文字が読めない人にも分かるように描かれた仏画的なものなのかなと思いきや、あまり仏の教え的な要素はなさそうで。
絵はなるべく避けているものの、大きな高山寺の印があらゆる継ぎ目に上下2つずつがっつり押されていて、どういう扱いだったのかも少々謎ですよね。

そう質の高い紙を使っているわけでもないし、傷みが激しかったらしい跡も多々見受けられるのに、きちんと残っているということは修復もされてきたはず。
監視スタッフの方にお聞きしてみたら、修復時期も謎なんです、とおっしゃっていました。

その割に、関連展示にあった年中行事絵巻には、祭りの行列の中に鳥獣戯画のワンシーンをモチーフにしたような装飾の傘が描かれているなど、古くから人気は高かったことがわかります。

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※絵巻の画像は全て本館の展示のものです

断簡が多数存在し、それらが盗難だったのか譲渡だったのかはわかりませんが、現存の絵巻に大きなハンコがバンバン押されているのも流出が多かったからなのでしょう。
模写本も多数存在するそうで、そこには時代によって今は残っていない部分を持つものもあり、それらの資料を基に構成を復元した展示も面白かったです。

平安~鎌倉時代の、特に庶民の風俗もわかり、そういう意味での資料的価値も高いでしょうね。
例えば将棋、この時代に既にあったのかと驚きました。

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常設展のスピンオフ展示もとてもよくて、予約時間の関係で先にスピンオフを見たのですが、いい予習になりました。
これから行く方はぜひお見逃しなく!
特別展は撮影NGですが、スピンオフのほうに模本(部分)展示もあって、写真撮影もできます。

実はすごい絵師が描いていた?

甲巻の擬人化された動物たちの楽しい表現はもちろん、乙巻の馬の躍動感や、丁巻の人間の動きの臨場感など、絵師の技術の確かさも窺えました。
当時まだ日本にいない動物たちは、絵師は実際に見ずに書いているはず。
なのに、象などは実によく描かれていて、誰が何をお手本に書いたものなんだろうと、描き手や成り立ちに一層興味がわきました。

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最も有名なんじゃないかと思われる、ウサギとカエルの相撲の場面は表情がいいですよね、実に楽しそう!
日本人は昔から擬人化が好きだったんだなぁ、と改めて実感します。

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個人的な楽しみと謎

ネコ好きの私としては、この烏帽子のネコさんが最大の楽しみでした。
よく見てみると、ウサギの背後からこの烏帽子ネコの様子を窺うネズミたちがいるではないですか!

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ネズミたち、かわいすぎる!!!
平安時代はネコは貴族のペット、舶来の稀少な動物というイメージでしたが、ネズミとの関係性は既に一般的だったんですね。

謎はなにかといえば、賭弓の場面のキツネなんです。
しっぽに火がついているように見えますよね?
キツネと火とくれば「狐火」が思い浮かぶのですが、平安~鎌倉時代に既に狐火の概念があったのか……。

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ポップにデザインされた動物たちにも心惹かれる

図録に興味がありながら、大きいし重いし、実物を見ればなくてもいいかも、と思って鑑賞したのですが、やっぱり欲しくなって購入。
専門家の方々の解説もじっくり読むことにします。
あと、例の烏帽子ネコさんの和片、実家の先代ネコと同じカラーリングだったので、嬉しくなって連れて帰りました。
そして、ピンクの展覧会オリジナルデザインのマステ、これは完全に衝動買い。

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この展覧会では、動物たちがポップに彩色されて、案内役もこなしているのがとても楽しかったです。

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チラシやWEBなど、PR用のデザインも、この人気を後押ししているように思いますね。
今まで興味のなかった人や、子どもたちが、行ってみたいなと思うきっかけになったのではないかと。
私もそのひとりだったりします。

新型コロナ対策で博物館を閉める必要があるのか?

3度めの緊急事態宣言を受けて、国立系の博物館は、当初開館を継続すると発表しました。
すぐに閉館に転じたとはいえ、一旦それを公にしたことに、心から敬意を表したいと思います。

宣言の延長で、会期途中で閉館したまま会期を終える展覧会もたくさんありました。
人流抑制と政府や都は言うけれど、予約制・人数制限をして鑑賞する博物館を閉める必要は果たしてあるのか?
予約制になって感じるのは、鑑賞者のほうもマナーを守り、興味がより深い人に自然と絞られている分、感染の要因とされる会話も本当に減っているということです。
そもそも博物館はひとりで来館する人も多いし、複数人で来た場合でも鑑賞は各々のペースでということも少なくない。
意味のない閉館は経済を止めるだけ、何の意味もないのでは?と疑問しかありません。

舞台芸術やイベント、映画館も然り。
1年前なら、まだウィルスのこともよくわからず、仕方ないねで済んだかもしれませんが、いろいろわかってきて、対策も施している今となっては、愚策としか思えません。

個人の楽しみの裏には、その場を創り、守っている人たちがいます。
一律で全てクローズさせるのは簡単ですが、本当に経済を回そうと思うなら、もっと検証や分析を重ねて、理由も明確にした上で判断してほしいと思います。

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