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なぜプレコンセプションケアが必要なのか?リアルに日本人には大事な話だと思います。
プレコンセプションケアというのがあることはわかったけど、なにがそんなに大事なの?健康的な生活が大事なんて、当たり前のことだし、気をつけないといけないのはわかるけど、いまいちイメージができないんだよね。。。
わかります。
今日はWHOの推奨している内容にのって勉強がてら書いていこうと思います。
プレコンセプションケアは何のために必要なのか?
WHOはプレコンセプションケアに関する報告書の中で、プレコンセプションケアによって、下記の問題に対しプラスの効果が与えられると上げています。
プレコンセプションケアによって改善を目指す問題
低体重や発育阻害を防ぐ
母子の死亡率を減らす
意図しない妊娠を防ぐ
妊娠中の合併症を防ぐ
死産、早産、低出産を防ぐ
先天性欠損症を予防する
新生児の感染を防ぐ
HIV / STIの垂直感染を防ぐ •ある種の小児がんのリスクを下げる •後年、2型糖尿病と心血管疾患のリスクを低下させる
対策及び介入方法
その対策及び、介入方法や問題の改善を課題として下記に挙げる項目に対する戦略が策定されています。
栄養状態
たばこ
遺伝的条件
衛生環境
不妊治療
対人暴力
早すぎる妊娠・望まない妊娠
性感染症
HIV
メンタルヘルス
向精神薬の使用
ワクチン予防
女性器切除
詳しくは下記参照(英語)
世界の状況
日本含め先進国では妊産婦や新生児の死亡率などは下がってきておりますが、アフリカをはじめとした後進国では、栄養の不足や性感染症、意図しない妊娠や少女と女性に対する暴力による身体的、心理的、悪影響は未だに根強く残っています。
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これらの課題はSDGsの中でもはじめに取り上げられているように、世界的に取り組む最重要課題とも言えます。
ユニセフの発表によると、2016年時点での乳児死亡率は、1000人の出産あたり世界平均で31人の乳児が死亡しています。後発国で48人、地域別では、サハラ以南のアフリカで53人、西部・中部アフリカでは63人に及びます。
日本では、1.9人と低い値を示しています。
このような背景から、プレコンセプションケアは、我々先進国にとっての問題というよりも、後進国の問題なんじゃないの?と思ったとしたら、大きな間違えです。
日本人は世界的にみて出生体重が低い
日本では、妊婦や赤ちゃんの死亡率は劇的にさがりましたが、女性が持つリスク因子が原因とされる先天異常、低出生体重児等は減っていません。
下記、国立成育医療研究センターとハーバード大学公衆衛生大学院の研究によって日本人がアメリカで生まれる児のうち最も出生体重が小さいこと、そしてその原因は、遺伝や人種に因るものではなく、特に、やせ型や標準体型の妊婦の体重増加量が少ないことに起因していることを突き止め、下記のことがわかった。
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【研究からわかったこと】
日本人の平均出生体重はアメリカで統計が取られている15人種中最も小さい
日本人の赤ちゃんは白人と比べて、約300g小さく産まれる
日本人の赤ちゃんは韓国・中国人と比べても、約150g小さく産まれる【図1】
さらに、日本人以外の人種では妊娠前の体格(BMI)で比較的妊娠中の体重増加は似通っていることに対して、日本人はやせ型や標準体型の妊婦の妊娠中の体重増加量が少ないことを報告。【図2】日本人の母が、白人と同じ体格で同じ体重増加であれば、日本人の赤ちゃんは白人と同じくらい大きく生まれうること、つまり、日本人の赤ちゃんが小さく産まれることの遺伝的素因は小さく、日本人女性の体格が大きくなり妊娠中の体重増加が増えれば、出生体重も大きくなることが予想されることを示した。
日本人の痩せは世界的にみても問題
以前の記事で、痩せの問題を取り上げましたが、世界的に見ても日本人の痩せは大きな問題となっています。赤ちゃんが、2,500g以下の低体重児として生まれた場合、将来生活習慣病になりやすいことがわかっています。2,500g以上の場合が、1.0なのに対して、1.8と約2倍近い発症率になります。
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妊娠や出産においての問題を後進国特有の問題と思っていた人は少なくないと思います。少なくとも私は、このような事実を知りませんでした。ある意味で私たち日本人は、妊娠や出産においては、他の国より遅れを取っているといっても過言ではないのかもしれません。
まとめ
プレコンセプションケアによって解決する問題の中で、日本は、妊産婦の死亡率や衛生面などによる新生児死亡率や、感染症などのリスクはおさえられるようになってきましたが、出生体重の低下は、世界的に見て非常に思わしくない結果が出ています。
とはいえ、経済成長を支えてきた上の世代たちは、現代を生きる私たちより身体的に小さく、「小さく生んで大きく育てる」のことわざを正しい子育てとして信じている人がまだまだ少なくないように感じます。
プレコンセプションケアという考えが少しでも多くの人に伝わることで、将来の自分、もしくは将来の家族、ひいては、未来の子どもたちのためになれば良いなと思います。
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