Monster LT大会!最新スタートアップによるイノベーション
8月22日に開催したmeetALIVEは、夏祭りスペシャル企画です。スタートアップ投資をテーマとしたセッションのほか、スタートアップ経営者4名がビジネスアイデアを6分間でピッチする「Monster LT」を実施。新しいビジネスは、どのようにして生まれるのか。各セッションの内容をまとめました。
―― 最初のセッションは、HAKOBUNE Founding Partnerの木村マサヒロさんに「スタートアップとのオープンイノベーションの留意点」についてお話いただきます。木村さん、よろしくお願いします。
木村さん
私たちHAKOBUNEは、プレシード・シード期に投資するベンチャーキャピタルです。この時代を象徴するようなエポックメイキングなサービスや商品、起業家に投資することをコンセプトにしています。
では、どんな人がエポックメイキングを起こすのでしょうか。私たちは、大企業から飛び出してきた異端児、はみ出し者だと考えています。起業家というと若手のイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。しかし、実際は30代・40代のほうが起業して成功する確率が高いという統計が出ています。私たちは、こうした常識を覆す変化を起こす大人起業家に投資を行い、その輩出サイクル構築を目指しています。
ベンチャーキャピタルの投資リターンは「べき乗則に従う」と言われています。ベンチャーキャピタルは複数の会社に投資をしますが、満遍なく似たようなリターンを出すわけではありません。そのうち1社か2社が大きなリターンを出し、それがその他すべての合計リターンに匹敵する、もしくは、それを超えるリターンを出す。この考え方が「べき乗則」であり、ベンチャーキャピタルにおける投資の実態です。逆の見方をすれば、「ほとんどの投資は、うまくいかない」と言えます。
「スタートアップ投資・連携に失敗しないためにはどうしたらよいでしょうか?」といった質問をよく受けます。先ほどお話したように、一つひとつの取り組みレベルでの失敗は避けられないので、失敗をおそれないことが大事です。失敗はオープンイノベーションの一部だと捉えてください。極論を言えば、商売も経験も実践の中にしか真実はありません。実践することが重要です。
「どのようなスタートアップに投資をしていますか?」という質問もよく受けます。プロダクトやビジネスモデル、スケーラビリティ、財務といった検討要素は当然おさえています。しかし、これだけでは十分ではありません。私たちが最も重視しているのは「創業者はどんな人間か」です。
興味のあることを徹底的に突き詰めて極めていく、好奇心と衝動を持っている。無限にエネルギーが湧いてくると思えるぐらい、時間を忘れて何かに没頭している。そんな起業家に投資をしたい。たとえるなら、漫画「鬼滅の刃」で主人公・炭治郎の刀を打った刀鍛冶・鋼鐵(はがづか)さんのような人を見つけたいですね。
最後に一つ言葉を紹介します。
「経営判断において選択できるのは最良の意思決定。ただし、最良の意思決定は必ずしも最良の結果にはつながらない」
誰もが狙いたいのは、最良の結果です。しかし、私たちにできるのは最良の意思決定まで。だからこそ、常に最良の意思決定を目指すことが大事。プレシード・シード期のベンチャーキャピタルの役目は、必ずしも論理的に正しいかどうか説明することができない投資判断をしていくことにあると思います。
―― 木村さんありがとうございました。次のセッションは「Monster LT」です。Monster LT とは、世の中をにぎわす面白いアイデア・サービス・プロダクト・プロジェクトを持つ起業家をお招きし、6分間のピッチを行う企画です。今回は、4社4名のスタートアップ経営者のみなさんにご登壇いただきます。
―― 最初の登壇者は、株式会社ViewBE CEO・化粧品開発者・毛髪診断士の鈴木葉留奈さんです。女性があか抜けるために大事なのはヘアケア。化粧品メーカーで研究開発を経験した後に独立し、現在は多くの女性にヘアケア、健康セルフケア、ウェルビーイングを届けています。鈴木さん、よろしくお願いします。
鈴木さん
私たちは「ビューティーテック」をキーワードに、髪の毛から女性のライフスタイルを変えるヘアチェックプログラム「Faview」を提供しています。これは、スマホで質問に回答、頭皮の写真を送るだけで、診断結果に応じたヘアケアや生活習慣改善のアドバイスが届くというもの。専門家による個別の簡易診断が受けられるほか、サブスクで一人ひとりに最適なヘアケアアイテムとカルテを毎月お届けしています。
私は以前、化粧品の研究・開発をしていたのですが、そのときに円形脱毛症になりました。ヘアケアやスキンケアについて、日々研究をしていたにもかかわらず、自分の頭皮と髪の毛の状態をまったく理解できていなかったのです。この経験から、「自分の頭皮と髪の毛の状態は、自分では把握しづらい」ことに気がつきました。
このような経験と研究・開発で培った知識があれば、女性のみなさんにより良い生活を届けることができるかもしれない。しかも、テックを使えば日本からグローバルに展開できると考え起業しました。
現在、ヘアケア市場は近年まれに見る急成長を遂げており、スキンケアブランドが延長上でヘアケアブランドを立ち上げる動きもあります。私たちが提携している企業の悩みは、適切な人にアイテムを届けられないこと。それも「Faview」なら解決できます。「Faview」はLINEと提携しているので、ユーザーと接点が持ちやすいのが特徴です。
「女性の髪」というニッチな分野ではありますが、ご興味のある方がいらっしゃれば、ぜひ、つながれるとうれしいです。
【株式会社ViewBEについて詳しくはこちら】
https://faview.jp
―― 続いての登壇者は、株式会社ワカルク代表取締役CEO 石川沙絵子さんです。同社は、アーリー期のスタートアップから上場企業まで幅広い業種業界のバックオフィス業務を100%リモートワークで支援。まさにBPOの女神と言える会社です。石川さん、よろしくお願いします。
石川さん
まずは、自己紹介をさせてください。私はこれまで人と組織にかかわる仕事をしてきました。20代の頃は始発から終電まで働くような生活をしていましたが、出産・子育てを経て働く場所と時間にロックがかかるようになり、思うように働けなくなりました。
試行錯誤の末、10(フルタイム)では働けないけれど、1でも2でもいいから長く細く働き続けたいとの思いに至ります。私は前職の経験があったので、働ける場所を見つけることができました。しかし、世の中にはそのような選択ができる会社はまだ少なく、働きたくても働けない女性がたくさんいます。だったら、私がつくろうと思い起業しました。
私たちのミッションは「働くことに夢中になれる環境をつくる」です。創業からフルリモートで全国に組織をつくり、現在は33名が働いています。地方在宅ワーカーがスタートアップのスピードのある動きに、どのようにして歩幅を揃えていくか。日々実験をしているところです。
お客様のオペレーションにおける課題は、「時間・ノウハウがない」「オペレーションコストを下げたい」「事業成長と同じスピードで推進できる人がいない・育成が待てない」などがあります。私たちは、それを「必要なときに」「どこでも」「チームで」解決するサービスを提供しています。具体的には、カスタマーサポートやセールス部門のサポートといった攻めの業務から、経理・労務・人事などの守りの業務まで幅広く対応が可能です。
外注するとなると「マニュアルの整理が必要」と思うかもしれませんが、その必要はありません。ワカルクの強みは、「ゴールは見えているが、プロセスは見えていない業務」がサポートできること。たとえば、CS業務を一緒に立ち上げ、プロセス構築にもかかわるなど、戦略構築から業務実行まで一気通貫でサポートしています。
オペレーションは会社の肝。ワカルクは、お客様が1分1秒でも長く、自分にしかできない仕事に打ち込めるように、現場一つひとつを丁寧に変えていきます。もし、興味があれば、Webサイトを見ていただけるとうれしいです。
【株式会社ワカルクについて詳しくはこちら】
https://wakaruku.com
―― 次の登壇者は、パートナーサクセス株式会社 代表取締役CEO 永田雅裕さんです。永田さんは、メーカーやベンダーの代理店管理業務を効率化するクラウドサービスを展開しています。それでは、永田さんよろしくお願いします。
永田さん
私たちは、次世代型 代理店連携管理クラウド PartnerSuccess PRMの開発と提供を行っています。みなさんは販売代理店と聞いて、どのような企業が使っているイメージを持っていますか。実は、BtoBの流通金額の75%は代理販売チャネルによるものと言われており、プロダクトや製品を持っている多くのメーカーは、代理店チャネルを使っています。
たとえば、SaaSと呼ばれるクラウドサービスで日本最速でARR(年間定期利益)100億円を突破したLINE WORKS。売上の90%が販売代理店経由となっています。さらに、キャッシュレス決済やデリバリーサービスでも販売代理店が多く使われています。
メーカーの課題は大きく3つあります。
1位 代理店が動いてくれず成果が上がらない
2位 コミュニケーションや管理が大変
3位 良いパートナー企業が見つからない
メーカー側は少人数で対応しなければならないため、すべての代理店をフォローすることができません。さらに、代理店関係者は非常に多く、各社で使用しているツールもバラバラなため管理が煩雑になってしまいます。加えて、代理店の誰が営業しているのかわからないブラックボックス化に苦しんでいます。
PartnerSuccess PRMは、このような代理店の管理から情報共有、コミュニケーションまでを一元化。代理店の動きを可視化し、より有効な代理店支援を行っていくツールです。メーカーと代理店をつなぐことでムダな業務コストを削減、戦略的なパートナービジネスを実現します。
ビジネスモデルは、メーカーから私たちが料金をいただき、代理店は無料で使用できる構想になっています。サービスリリースから約6000社の企業にIDをつくっていただいており、利用人数は約2万人にのぼります。年内に10万人まで増やすのが目標です。
私たちは、メーカー側、パートナー(代理店)側、それぞれが売り上げを増やしていけるような世の中をつくっていきたいと考えています。アライアンスをハックする、パートナーサクセスでした。
【パートナーサクセス株式会社について詳しくはこちら】
https://partnersuccess.jp
―― 最後の登壇者は、株式会社ドライバーテクノロジーズ代表取締役 社長執行役員 CEO 川島康平さんです。有名ピッチコンテストで優勝をおさめた若き起業家。日本最大級のドライバーマッチングプラットフォームを運営しておられます。それでは川島さん、よろしくお願いします。
川島さん
いま日本ではEC化率の向上に伴って配送需要が急増しており、ドライバーが圧倒的に不足。深刻な社会問題になっています。
なぜ、ドライバーのなり手が少ないのか。1つ目の理由は、有資格者が激減していることにあります。2007年6月1日までに普通免許を取得した人は、最大積載量5トン未満のトラックまで運転することができます。ところが、その後の道路交通法改定により2017年3月11日までに取得した人は3トン未満トラックまで。2017年3月12日以降に取得した人は2トン未満のトラックまでしか運転できないのです。法改正により普通免許で運転できるトラックの種類が少なくなっています。
2つ目の理由は、ドライバーに対するイメージが良くないこと。きつい、汚い、稼げないといったイメージがあるかもしれませんが、ドライバー業界も人手不足を背景に労働環境が日進月歩で改善されています。しかし、労働環境は実際に働いてみるまでわかりません。
そこで、これまで外からは見えなかった情報を見える化することで、ドライバー思いの運送会社を増やす。それが、ドライバー領域の成果報酬型人材採用システム「ドライバーダイレクト」です。
【ドライバーダイレクトの特徴】
・全国の運送会社を比較して探せる
・ドライバー求人数、日本最大級
・ドライバーが気になる項目をしぼって探せる
(手積みの有無、トラックの相乗りの有無など)
いままで実際に働いてみなければわからなかった情報が、スマホで簡単に検索できます。そのほか、専用のテストをクリアしたアドバイザーを自社で育成。いつでも電話やチャットで相談が可能です。
ドライバーの成果型マッチングサービスは、驚くことに2020年までは存在していませんでした。理由は業界特有の複雑な資格形態にあります。保有資格や経験で、できる仕事が異なるため、資格を組み合わせてマッチングするのが難しかったのです。そのため、大手が力を入れてこなかった背景があります。私たちは、ドライバーに特化する戦略を進めており、大手が捨てていた広大な市場を取っています。
独自のアルゴリズムとアドバイザーが丁寧にマッチングを行うので、他の求人サイトと比較して、2倍以上のマッチング率を誇ります。定着課金制のビジネスモデルなのでリスクも少なく、マッチングフィーは保有資格によって変動します。
ドライバー数も導入企業数も急成長しており、2023年10月に追加で1億円の資金調達を実現しました。その後、事業が急成長、直近半年間で月商が5倍になっています。9月にはオフィス移転を控えており、広さも5倍になる予定です。さらに勢いを増していこうと、いま4億円の追加資金調達に取り組んでいます。ぜひ、ドライバーテクノロジーズに投資をご検討いただければ幸いです。
【株式会社ドライバーテクノロジーズについて詳しくはこちら】
https://www.drtc.co.jp
【まとめ】
今回ご登壇いただいたスタートアップ経営者のみなさんに共通するのは、「誰かの問題を解決したい」という思い。それが起点となって、革新的なプロダクトが生まれています。まずは、「こうすれば、喜んでくれる人がたくさんいるのではないか」と仮説を立てることが、イノベーションの出発点なのではないでしょうか。
ライター コクブサトシ @uraraka_sato
meetALIVE プロデューサー 森脇匡紀 @moriwaking
meetALIVE コミュニティマネージャー 小倉一葉 @osake1st
写真:集合写真家 武市真拓
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