危ない投資にダマされないためのお金の教養塾
「投資には興味があるけど、何から始めればよいのかわからない」「投資はダマされそうで、なんだか怖い」という方は、多いのではないでしょうか? そこで今回は、投資信託・不動産、資産運用のプロをお招きして、投資の心構えや危ない投資に引っかからないためのポイントなどをお聞きしました。
――投資を始めるにあたっては、何から始めればよいでしょうか?
山根さん
まず、目的を決めてほしいですね。他の会社から不動産を購入された方が、相談に来られるケースがあります。「どのように購入されましたか?」と聞くと、「飛び込み営業が来て、良さそうだったから買いました」と言うのです。そういう買い方はお勧めしません。良い不動産というのは、人によって違います。つまり、「不動産を買って何がしたいのか?」ですよね。私は目的を聞いてから、その人に合う商品をご提案しています。知らない人からいきなり電話がかかってきて、「良い物件があるので、いかがですか?」と進められて買ってしまっている人は、もうやられているかもしれません。だから、まずは、投資の目的を最初に決めてほしいです。そうすると、不動産の話を聞いて検討するときに、判断がしやすくなります。
――お客様の中には、目的をはっきり持っていない方もいらっしゃると思うのですが、その場合、どのようにコンサルティングをされていますか?
山根さん
まずは、ご自身の信用で銀行からいくら借りられるかを確認します。どこで働いていて、年収がどのくらいなのかといった情報をもとに、個人で銀行から借りられる融資枠は決まってきますので、その枠をどれだけ生かすかという数字の確認をします。
それと、税金ですね。みなさん、贈与税という言葉を聞いたことがあると思います。贈与税は、相続が発生する3年前まで遡るのですが、今後は10年前まで遡るようになるという話が出てきています。それで今、頭を悩ませている方がいるので、「不動産を買うとこんなアプローチの方法がありますよ」といったお話をさせていただいています。
あと、もう1つは将来の年金対策です。これは、みなさんが一番課題として抱えていらっしゃることですね。実際に不動産を所有することによって、どのくらい解決ができるのかというお話をさせていただくケースが多いです。
−−田沼さんは、何から始めるのがよいと思いますか?
田沼さん
投資には、「何に投資をするのか?」「どうやって投資をするのか?」という2つの観点があります。そして、後者の方には「自分でするか?」「プロに任せるか?」という選択肢があります。
今は、YouTubeなどでも投資についての配信がされていますから、自分で勉強して副業のような形で株や仮想通貨を運用する方も増えてきています。でも、それはあまりお勧めできません。なぜならば、ライバルが金融のプロだからです。例えば、みなさんも学生時代に部活動をされていたと思いますが、中学生同士や高校生同士など、基本的には同じレベルの相手と試合をしますよね。初めてバットを持った野球少年が、いきなり大谷翔平と戦うことは、まずありません。ですが、投資の世界は違います。パソコンの向こう側では、年齢や国籍に関係なく、世界中の金融のプロたちが熾烈な戦いを繰り広げています。そんな中で、自分で運用していくのはかなり難しい。本業の休憩時間にスマホでカチカチとか、1日15分YouTubeで勉強しているから勝てるとか、そういうレベルではありません。
でも、なぜか、投資って簡単に稼げるようなイメージがあって、「ちょっと勉強しただけで、不労所得が何百万円も稼げる」という勘違いがあります。例えば、これが格闘技で「メイウェザーと戦ってください」と言われたら、「絶対無理」って思うじゃないですか。リングにすら上がりたくないですよね。だから、投資の運用はプロに任せることをお勧めします。
――危ない投資とは、どのような投資でしょうか?
田沼さん
一番大事なのは、ちゃんと金融庁のライセンスを持っているかということです。ライセンスを持っていない企業が金融ビジネスをするのは違法です。医師や弁護士と同じなのです。さすがに、無免許で医療行為をする医師はいないと思いますが、投資の世界では違法行為を行っている人がたくさんいます。でも、みなさん、なかなかそれに気づかないんです。だから、詐欺が多いのでしょうね。キーワードで言うと「月利(げつり)」「元本保証」「絶対儲かる」などの言葉が出たら、怪しいです。元本保証は違法ですし、月利という言葉もプロは使いません。
――不動産投資では、いかがでしょうか?
山根さん
誰がどこで売っているかわからない商品は怪しいですね。絶対に手を出さない方がいいです。逆に、誰が扱っている商品で、誰が責任を取っているのかわかれば、そんなに怪しいものはないです。
「金融商品を買って、配当がいつになっても入らない」という相談を受けたことがあります。「その商品は、誰から買って、誰が代表なのですか?」と聞くと、「人から紹介されて買ったので、よくわからない」とのこと。実態がわからないところにお金を預けるべきではありません。
――それって当たり前のことのように思いますが、被害に遭われている方も多いじゃないですか。なぜ、ダマされるのでしょうか?
田沼さん
「尊敬する先輩に勧められたから、契約書も確認せずに、現金を渡してしまった」といったケースの相談を受けたことがあります。良くも悪くも人って、繋がりや信用で決めてしまうから、ダマされてしまうのではないでしょうか。
山根さん
あと、切羽詰まっている人は、判断能力が鈍ってダマされやすくなっている気がします。例えば、仕事もバリバリされていて「家族の暮らしを豊かにするために、不動産で年金対策をしたい」といったように目的がはっきりしている人は、判断能力が鈍る可能性は低いので、ダマされるケースは少ないですね。
――素人が手を出すべきではない投資ってどんなものでしょうか?
田沼さん
FXとか仮想通貨は、あまりお勧めしていません。あと、最近では、仕組債や毎月分配型のファンドのほか、ITとかAI銘柄に投資するテーマ型の商品なども、お勧めしていないですね。
――今、手元に1000万円あったら、何に投資しますか?
山根さん
投資は長期的にするものなので、半分は残します。あとの500万円を何に投資をするかですね。それを決めるときは、「誰に売りたい商品なのか?」という視点で逆算して考えて、自分に合う商品か否かを判断しています。例えば、ウェルスナビさんの場合、「今の国債では利回りが出ない。そんな中、何に投資していいのかわからない、お金を持っている人がたくさんいる。でも、ウェルスナビだったら、自動的に世界中に分散して投資をしてくれる。それで、年間約4%の利回りが見込める。だったら、国債よりウェルスナビの方がいいんじゃないか」っていう層を狙っていると思うのですが、私はターゲットにはあてはまらないので、「ウェルスナビは違うな」という判断をします。
――田沼さんは、いかがでしょうか?
田沼さん
私なら、全額自分の「GOファンド」に投資します。これは嘘じゃありません。会社の資本金もほぼ私が出していますし、お客様と同じ口座に自分のお金も入れて運用しているんですよ。
それはさて置き、真面目な話をすると、全額投資するのではなく100万円ぐらいは残しておいた方がいいですね。例えば、換金するまでの期間が1年かかる商品に900万円入れてしまうのは危ないです。でも、それが1カ月以内に戻ってくる商品であれば、手元に100万円残しておけば生活できますし、問題ないと思います。結婚式とか、子どもが生まれるとか、海外旅行に行くとか、まとまったお金が必要なときは、1カ月前には予定がはっきりしているはずなので、その時に必要な分だけ解約するという運用が有効です。
――FIREを目指す方について、どう思われますか?
山根さん
マズローの5段階欲求というのがありますが、実はその1番上に6個目の欲求があって、それが「感謝」なんです。例えば、経営者の方が子会社をつくって若い経営者に出資したり、人生やり切った人が農業をはじめてみたり、それって、6個目の欲求を満たすための行動なのではないかと思うんです。そういう人にはFIREは向いている気がします。でも、そうじゃない人がFIREを目指しても飽きてしまうのではないでしょうか。FIREを目指すために投資をしても、仕事に余裕が無くなってくるので続かないと思います。
――お2人にとって、投資とは何ですか?
田沼さん
投資とは、人生を豊かにするための手段です。投資は、お金を稼ぐ手段と勘違いされやすいですが、そうじゃありません。お金があることで、海外旅行に行けたり、おいしいものが食べられたり、子どもを医学部に通わせることができたりと、人生の選択肢が広がります。お金と向き合うということは、人生を真剣に考えているということです。
山根さん
例えば、毎日20時間働いて、もうすでに年収が1億円ありますという人は、投資しないですよね。時間もないし、自分で稼いで欲しいものを手に入れた方が早い。投資を考えている人は、ストレートに言うと、お金を増やそうとしています。でも、人生を豊かにするためには、お金だけでなく、時間も必要ですよね。投資をするということは、お金に働いてもらうということでもあります。お金が働いてくれた分、大事な人と過ごす時間を増やすこともできます。だから、上手に活用して、豊かな人生をおくってほしいですね。
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ライター 國分 聡 @uraraka_sato
meetALIVE プロデューサー 森脇匡紀 @moriwaking
meetALIVE コミュニティマネージャー 小倉一葉 @osake1st
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