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リスキリング元年! 〜 働きがいと経済成長を両立できるDX時代の人材戦略 〜

深刻な人手不足、生産性の低迷、技術の進展による産業構造の変化……世の中では現在、IoTやRPA、AIの活用などにより自動化が進み、人の手で行っていた労働がそれらに置き換わりつつあります。

そんな中で日本の企業が直面している「DX人材の不足」という課題。大企業は高度な技術を持った人材確保に悩み、中小企業はデジタル化で大きく変わる業務プロセスを習熟して価値創造するための人材確保に頭を抱えています。

その解決の鍵と考えられているのが「リスキリング(Re-skilling)」!

職業能力の再開発・再教育という意味を持ち、DX時代に対応するための人材戦略としても注目されているこのキーワードについて、日本マイクロソフト株式会社 執行役員(登壇時の肩書き)・伊藤かつらさん、リスキリングによる人材育成を支援するシェアエックス株式会社 代表・中川りょうさんにお話いただきました。

2022年、DX推進に必要不可欠と言われているリスキリングの「今とこれから」をお届けします!

【ゲストスピーカー】 
伊藤 かつら 氏
日本マイクロソフト株式会社 執行役員
チーフ ラーニング オフィサー プロフェッショナルスキル開発本部長 ※登壇時の肩書き

日本アイ・ビー・エム、アドビシステムズ等外資系ソフトウェア企業で、フィールドエンジニア、プロダクトマーケティング、ビジネスマネージメントなど多様な経験を積む。 2011 年日本マイクロソフト株式会社入社。 2013 年執行役員ディベロッパー エバンジェリズム担当、クラウド、AI、ホロレンズといった新規テクノロジーを軸に、デベロッパーリーレーション、開発ツール、営業、テクノロジーエバンジェリズムを統括。 2017 年よりカスタマーサクセス事業本部長、カスタマーサクセスという新しい役割を立ち上げると同時に、多くのお客様の働き方改革にもかかわる。 2019 年より現職。クラウド&AIの人材育成を顧客向け、パートナー向け、社内向けにドライブ。 2021 年より野村不動産 HD 取締役(社外)。国際唎酒師、 WSET Level3 in Sake 取得。日本酒をとおした地方の 価値創造がライフワーク。

中川 りょう 氏
シェアエックス株式会社 代表取締役

1974年生まれ47歳。滋賀県出身、神奈川県茅ケ崎市在住。商社~金融コンサルティング会社を経て30歳に独立。以降6社を起業し、1社を会社売却。シェアリングエコノミーを軸に、人材のスキルや時間をシェアリングするサービス「PROsheet」、多様な働き方マッチングメディア「PARAFT」、コワーキングスペース「LightningSpot渋谷」など手掛けたシェアリングエコノミー事業は多数。現在は湘南にオフィスを構え、「CHANCE to CHANGE」をミッションに Re-skilling(DX人材育成)x 企業のDXを実現する事業を推進中。

――まずは「リスキリングとは何なのか?」についてお話いただきたいと思います。

伊藤さん
リスキリングは、今の日本ですごく歓迎されている考え方なんです。かつて日本が大きく成長していた時代は終身雇用が前提で、敢えて自ら積極的にスキルアップしなくても特に困ることはありませんでした。今は状況が変わり、人口も増えていない中で日本という国が成長するには、私たち一人ひとりが年齢やポジション、バックグラウンドに関係なく常に学びを追求することが大事になっているからです。

中川さん
私がリスキリングに対していちばん心を引かれたのが「実践」があってはじめて成り立つという点です。知識の詰め込みではなく、実際に行うことありきの学びだという。これは伊藤さん、どう思われますか?

伊藤さん
もちろん実践は重要ですよね。さらに言えば、リスキリングで重要なのは「失敗してもいい」ということだと思うんです。日本では、過密な業務の中で過剰なほど品質を追い求められる傾向がありますが、明日どうなるかわからない、誰も正解を知らない世の中で、そんなに詰め込み過ぎても仕方がないですよね。大事なのはみんなが勉強して、判断して、リスクをとって挑戦して、失敗したとしても学びがあるという環境。そこから次はどうしようか?とアクションを導き出すことが大切だと思います。

中川さん
その「失敗」も、実践しないことには生まれないですよね。私は今47歳なんですが、30歳で初めて起業して今6社目なんです。当時は周りから「アホちゃうか!」なんて言われましたし、今のリスキリング事業をやるのもめちゃくちゃ大変で、失敗したらどうしようとビビっていました。しかし、リスキリングという言葉に出会って気持ちがラクになったんです。失敗というものの価値を肯定できたというか。

伊藤さん
まずは個人に、所属している組織や与えられたポジションに甘んじることなく学ぶ覚悟があるかどうかということ。そして組織が、これから生き延びていくためにリスキリングをアジェンダに取り入れる覚悟があるかどうか。これらが重要な要素だと思います。

――リスキリングを語る上で、DXはどのように関わってくるのでしょうか。

中川さん
DXは、COVID‑19のパンデミックによって前倒しで一気に進められていくことになりました。リスキリングはその中で私たちにとって必然的に欠かせないものとなったのです。

伊藤さん
早急にDXが必要→誰がやるの?→私たちじゃん!」ということですよね。世界中の経営者をはじめとしてビジネス界のいろいろな人が今の世の中のボラティリティを受け入れて、施策や考え方をアップデートするにあたって、日本にバチっとハマったのがリスキリングなのだと思います。

――ここで伊藤さんに、今の日本でリスキリングが必要とされる背景についてさらに詳しく解説していただきたいと思います。

伊藤さん
デジタル人材が不足していることは皆さん実感されている通りかと思いますが、特にショッキングなのは「社外で自己研鑽していない日本人の割合が46.3%」という数字。つまり自己研鑽している人が半分しかいないということですが、この結果はアジアの中でも最低レベルです。また、雑誌で見たところによると、企業が人材開発のために行っている投資も日本が最低レベルだそうです。

伊藤さん
そうした現代の日本において、平均勤続年数が増え、労働者の流動性が高まっていく中、常に自分をアップデートしていかなければ、楽しい人生を送れる余地がなくなってきています。そして、画像のいちばん左がちょっとコワイのですが「学んだ技術の半減期は5年」ということ。でも、優秀な技術者ほどすんなりAIやクラウドを取り入れたりしているじゃないですか。変化を受け入れるかどうかと、自分をリスキリングしているかどうかは、密接な関係性があると思うんです。

伊藤さん
というわけで、何歳になっても時代に合わせて学び続けることが大事なんですよね。会社も決して社員に余計な時間をとらせようとしているわけではなくて、皆さんの未来に投資をしている。これはぜひ理解していただきたいことです。同じ時間を使って勉強したとしても、イヤイヤやらされるのと、自律的かつ能動的に行うのとでは学びの深さがまったく違います。

また、ありがたいのはテクノロジーが私たちを支えてくれているということ。今はオンラインのフリーコンテンツがたくさんあります。特に注目されているのは、マイクロラーニング。例えばマイクロソフトには「Microsoft Learn」というe-Learning形式の無料学習ツールがあります。1モジュール20分くらいの細切れになっているので、スキマ時間にチョコチョコ学習ができるんですよ。

伊藤さん
トップダウンとボトムアップ、企業と個人のリスキリング、どちらも大事。特にポイントはコミュニティです。コミュニティというと社外のイメージがありますが、社内のコミュニティも、もっとあっていいと思うんです。

伊藤さん
最後に、マイクロソフトのカルチャー「グロースマインドセット(成長する考え方)」を紹介します。考え方ひとつで、成長できるかできないか、ひいては将来まで変わってくるということです。失敗を恐れず次々にチャレンジする人は、脳の構造がどんどん良いほうへ変わっていきます。逆に機会を見送ってばかりいると、成長しない考え方に変わっていってしまう。だから、自分がリスキリングできるかどうかはホントに心構えひとつ!という、非常にシンプルなことなんですね。

――次は、中川さんのお話を伺います。リスキリングやDXについて悩んでいる中小企業さんは多いと思いますが、中川さんはどのような支援をされてきたのですか?

中川さん
私はもともと、出産・育児期から社会復帰したい女性のリスキリングを手がけてきました。たとえば、子どもがいるので自宅で10~15時くらいしか働けない、クラウドソーシングなどで単発の案件をこなしているけれど未来が見えない、でも30歳までにはコンスタントに手取り30万円くらいを得られるよう成長したい、将来、働きがいのある魅力的な企業で働けたら……そんな声があったんです。一方で企業には、営業部門におけるインサイドセールスやオンラインセールスでのでの人材不足という課題についてご相談をうけました。その中でリスキリングした人材と企業のお仕事のマッチングを、この1年間で推進してきました。

そしてこれからは、東京のIT企業だけでなく、地方の中小企業に対しても、社員のリスキリングを通じたDX(デジタルトランスフォーメーション)の課題解決に乗り出していきたいと思うようになりました。今まさに、そのような相談を受け始めたところです。

――今後さらに事業が広がりそうですね!

中川さん
今、中小企業の方々は、パンデミックにおいて、デジタルを活用した営業活動でどんどんリードを獲得しよう、育成しようという気概を持っています。その中で、どうやって社員の営業に関するスキルを身につけてもらうか、また営業DXを推進すればいいのかを、地方の企業からご相談いただいているんです。今はその初期段階で、誰がやるのか、どこから進めるのかというところから皆さまとお話しています。

伊藤さん
テクノロジーが変わったことで、リモートでカスタマーフェイシングができるようになりましたしね。海外に行くと、カスタマーフェイシングって女性が圧倒的で、トップセールスも女性が多いんです。でも日本は、ちょっと皆さん自信がないんですよね。でも、誰もが本来、人材という宝です。ネットワークの向こうにはいろんな仕事がありますから、いつから勉強し直したっていいですし、何歳からチャレンジしてもいいんだ!ということに、リスキリングという言葉を通じて皆さんに気が付いていただけたらいいなと思います。

――最後にお二人からメッセージをお願いします。

中川さん
リスキリングは誰にとっても大事なものですし、気持ちがラクになり、可能性が広がり、ハッピーな未来を迎えるために必要なものだと思います。リスキリングにもいろんなかたちがありますが、ぜひ皆さん自分に合ったものを見つけていただきたいです。そしてもしそれが営業や販売の分野だったとしたら、ぜひお声がけください。今日はありがとうございました!

伊藤さん
私最近、改めて思うんですけど、日本って本当に安全で平和で素晴らしい国ですよね。それなのに、日本人がその誇りを失いつつあるのはとても残念に感じます。日本にはまだまだたくさんのポテンシャルがある。リスキリングという考え方が私たちの豊かな未来のために役立つと思います。皆で学んで、成長して、これからの人生を楽しみましょう!

お二人の話で、リスキリングが重要視されている背景、DXとの関係性、そしてリスキリングとどう向き合い、取り組むべきかが見えてきました。
さあ、あなたのリスキリングは? 来るべき時代に備えて、今この瞬間から、学びと成長による自分らしいアップデートを始めていきましょう!


ライター 北村朱里 @kitamuraakari
meetALIVE プロデューサー 森脇匡紀 @moriwaking
meetALIVE コミュニティマネージャー 小倉一葉 @osake1st

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meetALIVE(ミート・アライブ)は、「今、会いたい人に会える」を目指すコミュニティプロジェクト。
「毎日をより楽しく、世界をより豊かにしよう!」と挑戦を続けるイノベーター達と語らう企画を用意しています。


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2022年6月開催分
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