ホームシックとセーフティーネット:これまで見逃されてきたことを、見逃さない
新年、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
「帰れぬ」となると爆発するのがホームシックというもののようで、
例年にないくらい日本や日本にいる大切な人たちのことを想う年末年始。
その気分が日本食への渇望を膨らませ、年越しそばから御節料理と日本食三昧の年越しでした。(かさむ食費には、静かに目を瞑った)
「ソーシャル」な世界と距離をとることで、否が応でも「プライベート」な世界と向き合う必要のあった2020年。
経済的にも精神的にもジェットコースターみたいな日々の中でパニック状態の私を、ゆるっと受け止めてくれた夫と、
小さな体で現実をありのままに受け止め、今と未来に集中する息子に、何度も救われて何度もはっとさせられました。
夫や息子とこんなに対話することって、社会活動に無理やりブレーキをかけさせられている今しかできないのかも…。
と考えると、最悪に思える状況もかけがえのない日々に思えるし、新年はこの時間があって良かったと思える未来への布石にできたら良いなと願っています。
2021年も皆様が健やかに笑顔いっぱいで過ごせますように!!
一方、この世界的な危機が我が家の家計にも多大な影響を与える中で、
社会や国家ついて自分の求める形というか、輪郭が、また一段とはっきりしてきました。
それは「安全」で「安心」な社会。
何も目新しくない当たり前のことだけれど、その当たり前がいかに脆いものかを実感します。昨年は特に、ドイツに暮らす外国人として、アジア人差別にヒヤリとすることもありました。
と同時に、ドイツ社会の一員として、あらゆる保護と保障の対象となっていることには、「命までは取られまい」という安心感があります。
誰だって、ギリギリまで追い詰められると視野が狭くなり、人に優しくできなくなりますよね。自分でも現金なことだと思うのですが、口座残高が減る一方の状況の中では、心が全く落ち着きませんでした。
でも、このラインまで来たら、あの制度を活用しよう。それでも足りなかったら、あそこに相談しようと、最終手段である失業保険や生活保護にたどり着く前に何段階か、自営業者向け、ファミリー向けの支援策がある。手持ちのカードがまだ何枚かあることがどれだけ救いになったか。
もちろん、セーフティーネットが機能する社会、福祉国家への投資として、税金も社会保障関連費も日本よりドイツの方が負担が多いことも事実です。でも、不確実性が高い世の中を「安心」「安全」に渡れる社会のためならば、今後も喜んで投資しましょう!
逆にもし私が、日本に移住している外国人のフリーランサーだったら…。
このコロナ危機を、どのように乗り越えられていただろう。
いつもより遠い母国を恋しく思いながら、支援の網の目からこぼれ落ちているかもしれない一人一人が自分と重なり、寒さがますます身に染みる今年の冬。
でも、やっぱり希望はある。これまでどこかいびつだった社会の姿がはっきりと見えてきた。そのことに気づいた市民から声が上がり、それを政治が無視できなくなってきている。小さな声が、ネットやSNSを通して同志に響く。見逃されてきた存在を、見逃さない社会に、そういう土壌を作っていきたい。
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