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シェイクスピア大先生の描く人間の本質『リア王』

久々の観劇備忘録。
パルコプロデュース『リア王』@キャナルシティ劇場

一面ホワイト。
オフィスを思わせるウォーターサーバーとコピー機。
スーツを着た登場人物。

舞台装置も衣装もスタイリッシュな現代。
でも登場人物も時代も場所もリア王の世界。

その対比に、リア王の世界が現代と交錯するショーン・ホームズの演出に、まずは「このリア王はなんだ?」と、惹き込まれる。

それにしても、人間の本質をこれでもかと突きつけてくるシェイクスピア大先生の悲劇ときたら。

人間の業深さも、清らかさも、一瞬清らかなほうに加担しそうになって、それもまた人間の欲深さよな、とぐいぐい引き戻してくるところまでがシェイクスピア大先生。

愛も欲も表裏一体の世界で、欲望の中にも真実の愛みたいなものも含まれとるのだろうし、愛に見せかけた業深いなにかであることもあるだろうし、愛という名のもとにいとも簡単に過ちを犯す生き物が人間ってやつで、善も悪も、清も濁も、結末は大して変わらない。

登場人物すべてが、たぶん、私で、あなた。

人は避けられる悲劇を敢えて自ら招いて死に至る。
その報われなさ、救いようのなさを描き切るシェイクスピアの悲劇。
救いがないからこそリアル。

リア王演じる段田安則さん始め、力量ある俳優陣揃いの『リア王』。
よい芝居観た。


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