【カナダ】空港からのドローンデリバリー開始
カナダのドローン物流(drone logistics)企業Drone Delivery Canada(ドローンデリバリーカナダ)社はカナダの規制当局にあたるNAV CANADAの認可を受け、今年(2021年)12月(デモンストレーションの実施は3日)にエドモントン国際空港(EIA)からLeduc CountyのNisku商業地区への商用ドローンデリバリー(drone delivery)サービスを開始した。
空港を起点としたドローンデリバリー
通常カナダの空港周辺空域はドローン(drone)の飛行が厳しく規制されており、空港施設内を起点としたドローンデリバリーの運航がNAV CANADAに認可されたのは今回が初となる。
2019年10月にこのプロジェクトが発表されて以来、ドローンデリバリーカナダ社、エドモントン国際空港、NAV CANADAの間で安全手順の作成が協力して行われ、今回の空港を起点としたドローンデリバリーサービス運用の開始に至った。
運航で使用されるUAVは「Sparrow」
今回のエドモントン国際空港からのドローンデリバリー運航には以前の記事『【医療物資のドローン物流】デリバリーで活躍するドローンたち 〜 コロナ禍で加速したドローンによる医療サプライチェーン変革[機体篇]』でも紹介したドローンデリバリーカナダ社製のマルチローター(オクトローター)ドローン「Sparrow」が使用されている。
ドローン物流のハブアンドスポーク完成形へ
このプロジェクトによって空港からのドローンデリバリー運航が開始された意義は非常に大きく、空港を起点としたドローンによるマルチモーダルなハブアンドスポーク物流がひとつの完成形に近付いた。これでドローン物流によるサプライチェーン変革が一段と前進することとなる。(また、ドローン物流のハブアンドスポークが完成形に近付いたことで、リゾーム型ドローン社会モデルも前進するかもしれない。)
ドローン物流でゼロエミッション推進
今回のドローンデリバリーには、医薬品など医療物資の迅速な配達や機密性の高い貨物の安全な輸送、エコでクリーンなドローン活用で自動車の交通量削減と排ガス低減によるゼロエミッション推進が求められており(以前の記事『【ドローンデリバリー】が環境イニシアチブ賞受賞』を参照ください)、今後スポークを先住民コミュニティやノーザンコミュニティ、エドモントン中心部などの人口密集地に拡大することが期待されている。
先進的なエドモントン国際空港
因みに、エドモントン国際空港(IATA空港コード: YEG)はバードストライク対策として2017年5月に世界で初めてハヤブサ型オーニソプタードローン「Robird」を導入、2019年8月にはPrecision Approach Path Indicator(PAPI)分析のためカナダの空港で初のドローン夜間飛行を実施、2019年10月には滑走路の点検にLIDAR搭載ドローンを導入するなど先端技術を先駆的に取り入れている。
そんなエドモントン国際空港と早くからドローンデリバリーに取り組んできたドローンデリバリーカナダ社、NAV CANADAのコラボレーションだからこそ今回の空港を起点としたドローンデリバリーサービス運用が実現したと言える。