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なんで糖尿病でケトアシドーシスになるの?
糖尿病とは?
糖尿病とは、インスリンの不足や作用不足で血糖値が上がり、血管などに障害をもたらす疾患ですね。
一見すると血液が酸性になるアシドーシスと血糖値の関連がわかりにくいですよね。これを見ていきましょう。
そもそもインスリンは糖分を細胞に取り込んでエネルギーにするホルモンです。糖分が使えないと人体は脂肪を分解してエネルギーにします。
でも、脂肪はグリセリンと脂肪酸がくっついたもの。分解すると酸性のケトン体が出てきてアシドーシスになります。
糖尿病ケトアシドーシスの病態
ここでやっと糖尿病です。糖尿病ではインスリンの作用不足or産生不足で血糖値が上がるんですよね。つまり糖尿病では糖分をエネルギーにできない代わりに脂肪を分解するのでアシドーシスとなるのです。
高血糖高浸透圧症候群(HUS)の病態
糖尿病に合併する疾患として他には高血糖高浸透圧症候群(HUS)があります。こちらも糖分を細胞に取り込めない部分は共通ですが、アシドーシスよりも脱水・高Na血症が主な病態です。数日かけて浸透圧利尿による尿量増加、体重減少が進行していき高Na血症・脱水が高度となり意識障害を呈します。DKAよりもインスリン分泌がある程度保たれており、アシドーシスがみられにくいことも相違点です。
DKAとHUSは合併しないの?
双方同じ糖尿病の合併症なので合併しやすいのではと思いますが、本邦では報告が少ないようです。しかし、肥満が規格外に高度なアメリカでは合併例が糖尿病緊急入院の30%程度にみられるようです¹。
参考文献
1)https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/51/4/51_4_341/_pdf/-char/ja