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顧客目線のライティング。プロのライターが素人に勝てない理由
顧客目線のライティングと一般的なライティング
プロのライターが素人に勝てないことがあります。それは、顧客目線でのライティングが難しいからなのです。まず、一般的なライティングと顧客目線のライティングを比べてみましょう。
例えば、このユニクロの大ヒットパンツ、タックワイドパンツについての紹介文を書くとします。
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一般的なライティング例
春先から夏にかけても活躍しそうな生成りのナチュラルカラー。トレンドライクなワイド感だから、ゆるすぎずキツすぎずでサラリと履きこなせます。スニーカーを合わせてカジュアルダウンさせるのがおすすめのスタイル。
これに対して顧客目線のライティングはこうです。
顧客目線のライティング
ウエストゴムで履き心地バツグンなのに、ギャザーがないからインしても着こなしやすい。生地感しっかりなので、透け感もほとんど気になりません。ナチュラルカラーはペチコートを仕込んでも。
顧客目線のライティングは顧客の課題を解決する
一般的なライティングでは、「春先から夏にかけて活躍しそう」「トレンドライク」「サラリと履きこなせる」といった表現が使われますが、これらは広い範囲のアイテムに適用可能な一般論が多く含まれています。誰にでも言えるような内容で、特定の商品の特徴を際立たせるものではないのです。
一方で、顧客目線のライティングは、「実際にこのパンツを履こうと思う人」に向けて具体的な情報を提供しています。例えば、「ウエストゴムだから履き心地が良い」「ギャザーがないからインできる」「透け感は気にならないけど、心配ならペチコートを仕込んでも」といった表現は、このパンツに関心を持つ人たちの具体的な課題を解決するための情報を提供しています。
ライターに原稿を発注する際に「一般的なライティング」で仕上がるのは、ライターがその商品についての深い理解や、実際の利用者の視点を持ち合わせていないことが原因なのです。
プロのライターでも、その商品の使い心地や具体的な利点を知らなければ、顧客目線でのライティングは難しくなります。顧客の実際のニーズや疑問に対応するような内容を書くには、商品の詳細な知識と共に、ターゲット顧客の心理を理解することが必要になるのです。
顧客目線のライティングは、当事者だからこそ書けること
顧客目線のライティングは、実際に商品を購入し使用している当事者だからこそ書ける内容になっています。このようなライティングは、購入者自身が感じた経験や、特定の商品に対する具体的な感想、利用時の詳細なフィードバックを提供することができます。例えば、パンツの透け感が気になるかどうか、ウエストがちょうど良いかどうかといった、実際の顧客が購入前に持つ疑問や不安を解消するポイントを把握し、それに答える形で書かれます。
対して、一般的なライティングでは、その商品に対して特別な興味を持っていない人が書くため、より広い視点から一般的な情報を提供することが多いです。これは、商品の特徴を説明するものの、実際に使う際の詳細や具体的な体験が欠けているため、購入を検討している人にとってはあまり役立たない情報になることがあります。
今の時代、SNSなどを通じて誰でも発信ができるため、多くの当事者が自分たちの体験を基に情報を提供しています。このような情報は、同じ商品に興味を持つ他の消費者にとって非常に価値が高いです。それにより、一般的なライティングよりも顧客目線のライティングの方が受け入れられやすく、信頼される傾向にあります。
この違いは、実際の顧客が何を求めているのか、どのような情報が彼らにとって有益なのかを理解しているかどうかに依存します。顧客自身が書くことによって、そのニーズに直接応える形のコンテンツが生まれるんですね。
顧客目線のライティングを書くにはどうしたら良いか
顧客目線のライティングを書くためには、実際にその商品やサービスの顧客としての経験を持つことが重要です。USJをV字回復させたマーケター、森岡毅さんは「自分のセンスで判断するのではなく、深く理解し消費者の視点」を持つことが重要だと言っています。
実際にUSJとモンスターハンターがコラボをした際には、999時間プレイして、そのコンテンツについての深い理解と経験を積んだといいます。
マーケティングをやる人間は、なんでも自分自身でやってみることを習慣にするべきです。(中略)マーケターは「消費者目線」を基本にしないとアイデアも戦略も判断も全てにおいて焦点がズレると思うのです
このマーケティングをライティング置き換えても同じことが言えます。マーケターが「消費者目線」を基本にすると言われるのは、その視点からしか見えない価値やニーズがあるからです。同様に、ライターも実際に商品やサービスを体験することで、読者が本当に知りたい情報を提供できるようになります。
このアプローチは、今のSNS時代に特に有効です。多くの当事者が自らの体験に基づいたコンテンツを発信している中で、ただの一般的な情報では読者の興味を引くことは難しいです。そのため、自分自身が顧客になり、実際の経験から得られる具体的な感想や詳細なフィードバックをライティングに反映させることが重要です。
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