見出し画像

なぜ商品画像は、テカテカだと売れるのか?

こんにちは。達川幸弘です。

今はCAMPFIREという会社でマーケティングをしたり、ほそぼそと個人でも企業のマーケティングのお手伝いをしていたりします。

マーケティングと進化心理学をつなげるブログという実験的な試みをしております。

▼概要はこちら

さて、みなさんはAmazonで買い物をされることも多いのではないでしょうか?

その時にこのような画像を見たことはないですか?

Anker 733 Power Bank

こちらは、Ankerさんが発売されているモバイルバッテリーです。

Ankerさんのモバイルバッテリーが有名なので、その画像をみたことがありますか? ということを問うているわけではありません。

問題は、この表面の光沢です。

こういった、表面がテカテカと光っている画像はAmazonなどのECサイトでもよく見られると思います。

このように一覧で見ると、先程お見せした画像が、例外ではないということが分かると思います。

Amazonでの「Anker」の検索結果
参照:Amazon

このように光っていることで、「何となく高級感を感じる」などで、デザイナーの方々や、撮影ディレクションをする際も、光沢を意識するかたも多いのではないでしょうか?

結論から言いますと、この「光沢」を適度に与えることで「売上アップ」の効果が期待できます。

これには進化心理学的な観点がありました。その理由と、「やってはいけないこと」について解説していきます。

製品への反射が製品の美観に及ぼす影響の検証

2022 年12月に公開された、米国のNazuk SharmaとAnand Kumarによる論文の中に本ブログのテーマに関する研究があります。

Drawn to the gloss: Examining the effect of product reflection on product aesthetics
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/cb.2128

この研究は、製品の光沢が購買にどのような影響を与えるか、それがなぜなのかを調査したものです。

製品の商品画像に光沢を加工したり、美しい光沢になるよう撮影し、使用することは一般的な業界の慣行ですが、この研究はその影響を初めて調査したものです。

研究結果

研究の結果、広告や製品画像などの中にある製品に光の反射を追加すると、ユーザーの好感度が高まり、購入する可能性が高まりることが分かりました。

■テーブルを使った実験
・1 つは反射あり
・1 つは反射なし

の2つの画像を見せたところ、光の反射のあるものの方が魅力的であるいう回答が17%高くなりました。

■本棚を使った実験
こちらも

・1 つは反射あり
・1 つは反射なし

の2つの画像を見せたところ、光の反射のある画像が状態がよいという回答が16%高くなり、魅力的であるという回答が23%高くなりました。

さらに、購入する可能性に関しては、光の反射のある画像のほうが32% 高くなりました。 


人間は水を探している

では、なぜ「光沢」「光の反射」に人は反応してしまうのでしょうか?

光沢のある物体に惹かれるのは、人間の中核となる本能の 1 つです。

人間は進化の過程で、生存に必要な清潔で純粋で光沢のある「水」を常に探してきました。

清潔感のある光沢は、安全な水の印象を我々に与えてくれるので、思わず反応し、安心感を受け取ってしまいます。 ですので、製品を撮影するときは製品にわざとらしくない程度の反射が映り込むようにすると、そこからポジティブな感情を呼び起こすことができます。

しかし注意点もあり、何でも光らせれば良いというものでもなかったりします。

例外パターン・過剰演出で、人間は覚める

次のような場合は効果が薄くなります。

1.複雑なデザインで反射に気づきにくいもの

参照:Amazon

複雑な形状の場合、光をあてても反射面が少なく効果が弱くなります。上記の画像でも、構造が複雑な左上の商品は「光沢を感じづらい」と思われたかもしれません。

しかし、だからといって無理に光沢を与える必要はありません。それを以下の項目で解説していきます。

2.デザインが重要でない製品

参照:Amazon

ブランドや製品によっては、デザイン以上に機能性が重要なものがあります。たとえばはしごや工具など、購買動機がデザイン性を上回り安全性・機能性などが重視されるものです。

この場合、必ずしも製品画像の「光沢」がポジティブに働くとは限りません。

3.ビンテージもの(古いことに価値がある)

参照:Amazon

他にも例外があります。例えば、「ビンテージ」「アンティーク」など、年代を感じさせるほどに価値が高まるものは、古いことに価値があります。

つまり「光沢」によるあたえる鮮度が、ネガティブな影響を与えてしまうのです。

4.過剰な光沢

また、「過剰すぎる演出」がネガティブな影響をあたえるという別の研究もあります。

過剰に光沢を与えるなどして、「不自然」な印象を与えてしまった場合、ブランドを既存してしまうリスクもあるのです。

適切な商品選択で、適度な光沢を与える

いかがだったでしょうか?

自分たちの製品が、「鮮度」「デザイン性(特にシンプルなもの)」が重要であると考えた際は、「光」を意識して、人間の本能にある「清潔で安全な水」への探究心を刺激することで、ブランドの売上を底上げする結果になるかもしれません。

ぜひ、商品撮影時に意識していなかったという方は試してみてください。

ーーーーーーーーー
最後までお付き合い、ありがとうございました!!

▼Twitterのフォローはこちらから

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集