【読書】『ラブカは静かに弓を持つ』〜楽器を習いたくなる小説〜
ふと何故か、これまで読んだことのない著者の小説が読みたくなりました。初めての著者の小説を読むのは、少しだけ勇気が必要です。
つまらなかったらどうしよう、難しすぎて意味がわからなかったらどうしようという不安に襲われるのです。
ちょうど、本屋大賞のノミネート作が発表されており、その中から面白そうな作品を、選ぶことにしました。
いくつかのYouTubeで紹介されているレビューを見て、この『ラブカは静かに弓を持つ』という本にしました。
著者は、安壇美緒さんという方です。
申し訳ないのですが、初めて聞くお名前の作家さんです。
何故、この本にしたのかというと、ストーリーにチェロという楽器が出てくるからです。
昨年末に、今野敏さんの『任侠楽団』を読んで、少しばかりクラッシック音楽に興味が出てきているところでした。
私は、小学校のときの音楽の授業が苦手でした。
楽器も得意ではなく、学芸会などでは進んでトライアングルやカスタネットなどの打楽器を演奏していました。
こういう打楽器を、偉そうに演奏すると言っていいのかどうか分かりませんが・・・。
それなのに何故か中学生になって、お小遣いでフォークギターを買いました。
これも、厨二病の症状の一つだったのでしょうか。
予想通り、ギターのテクニックは全く上達せず、直ぐに飽きてしまいました。
長らく実家の押し入れに眠っていたのですが、長女が高校生のときに見つけて、持って帰りました。
今はどこにあるのかわかりません。
小説や映画では、他人を騙すとか裏切るということを平気でやってしまうことがありますが、現実的にはそのようなことは、非常に難しいことです。
生きていると、どうしても他人に嘘をつかなければならないということがあります。
軽い嘘なら仕方のないこともありますが、結構重い嘘をつかなければならない必要に迫られる場合もあります。
他人を騙し続けているとき、もしかしたらバレているのかもと感じたときの、緊張感と不安は、何とも言えないものがあります。
誰でも、一度くらいは、そんな体験をしたことがあると思うのです。
この小説は、割と穏やかな感じで流れていく中に、時々、息苦しくなるようなシーンがあります。
穏やかな流れの中に、常に何処かに棘が刺さっているような感じで、物語りは進んでいきます。
そしてその棘は、少しづつ成長していくのです。
私はこのくらいの、ありそうでない話、なさそうでありそうな、やっぱりなさそうな話が好きです。
最後には、ものすごく楽器を弾きたくなる小説です。