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福澤徹三著『侠飯(おとこめし)⑩ 懐ウマ赤羽レトロ篇』を読了。|読み出すとやめられなくなる、ヤクザもの系エンタメ小説の魅力
福澤徹三著『侠飯(おとこめし)⑩ 懐ウマ赤羽レトロ篇』を読み終わりました。
2014年12月に最初の作品が発売された『侠飯』シリーズは、今作品で10作品目を迎えました。
読んでいると食欲が湧いてくるシリーズ
『侠飯』シリーズは、どこから見てもヤクザにしか見えない柳刃と火野という2人組が、毎回「闇バイト」などの、世間で話題になっている事件を解決するというストーリーです。
読んだ後には、爽快感を与えてくれる作品ばかりです。
全ての作品に、働くことと生きることに悩んでいる若者たちが登場します。
そして、柳刃と火野は、絶品の料理を振る舞いながら、そういった若者たちを立ち直らせていくのです。
彼らの作る料理は、どこにでも売っているような素材を使って、ちょっとした工夫で一流のシェフに負けないような味に仕上げるのが特徴です。
料理を食べるシーンを読んでいると、必ずお腹が空いてくるので、ダイエット中の方が読むのは少し危険です。
破天荒なヤクザもの小説
今回の作品の舞台は、東京の下町にあるせんべろの街、赤羽にある昭和風の古民家ゲストハウス。
このゲストハウスのオーナーもまた、どこから見ても元組長なのです。
そこに宿泊する3人の若者たちに対して、柳刃と火野は毎晩、料理を振る舞います。
今回の作品を読んでいて、今野敏著『任侠』シリーズを思い出しました。
このシリーズもまた、ヤクザが主役のエンタメ小説です。
下町の小さな暴力団(といっても指定団体ではない)の組長の趣味で、出版会社や私立高校、病院などの運営に乗り出すというストーリーです。
『侠飯』シリーズはヤクザが料理を通して若者を成長させていく様子や、『任侠』シリーズはヤクザが真面目に事業経営に関わっていく姿など、両作品とも予想外の展開が魅力的です。
個人的には、この2つのシリーズがコラボすると面白いだろうなと思っています。
次の作品が待ち遠しい
『侠飯』シリーズは、ほぼ年に1作品のペースで発売されています。なので、次の作品が楽しめるのは1年後となるのでしょうか。
次の作品で、柳刃と火野の2人は、どんな事件を解決するのか、そしてどんな新メニューが登場するのか、今から待ち遠しい気持ちでいっぱいです。