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『しろばんば』(井上靖 著)を読み始める。|何故か懐かしく感じる、大正時代の田舎の風景

井上靖(著)『しろばんば』を読み始めています。
井上靖さんの作品を読むのは、この作品が初めてになります。
読もうと思ったきっかけは、現在、オーディオブックで聴いている、原田ひ香(著)『図書館のお仕事』の中で登場したからです。
読んでいる小説の中から、新たに読みたい小説に出会えるというのは、読書好きの方なら共感できる経験ではないでしょうか。

『しろばんば』は、井上靖さんの自伝的小説で、『夏草物語』『北の海』につながる3部作の1作品目になります。
時代は1914年(大正3年)頃で、舞台は伊豆半島の真ん中あたりにある湯ヶ島という、井上靖さんが実際に幼少期に育ったところが舞台です。

1914年(大正3年)頃になると、東京や大阪はすでに都会化が進んでいましたが、伊豆半島の山奥となると、時代感は全く違っていました。
都会と田舎の間には、大きな時代の隔たりがあったと想像されます。

そんな日本の昔の田舎の様子が鮮明に描かれており、その風景が思い浮かんできます。
大正時代には、当然、私はまだ生まれていませんでしたが、どこか懐かしさを感じるのが不思議なところです。

読み進めていて、読解力の弱い私は、主人公の家族関係が少し混乱してきたので、ページをめくり戻して、手書きのノートに、家系図を書いて確認をしました。
このようなことができるのが、紙の本のいいところです。
電子書籍でも可能ではありますが、可視化できる範囲が限られているので、少し困難です。
オーディオブックでは、巻き戻る場所をなかなか探せなくて、ほぼ不可能なことでしょう。

井上靖さんの作品は、読むのは難しいのではないかと勝手に想像をしていて、これまで読んできませんでした。しかし、読んでみると「食わず嫌い」ならぬ「読まず嫌い」だったことがわかりました。
とても読みやすい文章で、軽快にページが進みます。
なぜもっと早くに読まなかったのだろうと、後悔しているところです。

まだ読み始めたばかりですが、この作品の先には『夏草物語』『北の海』が続くのだと思うと、今から心が躍ります。

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