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井上靖著『しろばんば』を読み終える。|少年時代の思い出が甦る作品。

井上靖著『しろばんば』を読み終えました。
約1か月かけて、じっくりと味わって読みました。
読んでいるときは、私自身が小学生の頃に戻ったようで、懐かしい気持ちにさせられる作品でした。


きっかけは『図書館のお夜食』

『しろばんば』を読もうと思ったきっかけは、原田ひ香著『図書館のお夜食』です。
この作品の第1話が、「しろばんばのカレー」というタイトルでした。

これまで井上靖の作品は読んだことがなかったのですが、挑戦してみようと思いました。
小説の中に登場する小説を読むというのは、私にとってはよくあるケースなのです。
読み始めてみると、直ぐに物語の世界に引き込まれてしまいました。

懐かしさを感じる物語

『しろばんば』の主人公の洪作は、ある事情があって、家族と離れて祖母と2人で土蔵で暮らします。
洪作ほど賢くありませんでしたが、私自身も小学生の頃は、おばあちゃん子で育ちました。
なので、洪作の気持ちがものすごく良く分かるのです。
大正時代初期の物語なので、時代背景は違うのですが、共通するところがたくさんありました。

個性的な登場人物

登場人物は個性的な人ばかりで、特に私が感じたのは、大人の男性はみんな何故か無愛想だということです。
昔の男性は、基本的にあまり喋らなかったのかも知れません。
その代わり、女性は良く喋ります。
言ってはいけないようなことまで喋ってしまいます。

中でも一番言ってはいけないことまで喋ってしまうのが、洪作と同居する祖母です。
洪作を可愛がるあまり、他の人には敵対心をむき出しにします。

続編を発注

最後は予想通り、祖母との悲しい別れがあります。
そして、生まれ育った村の友達との別れにもなり、少し寂しい雰囲気で本書は終わります。

しかしこの物語、これで終わりではありません。
『しろばんば』は、『夏草冬濤』『北の海』へと続く3部作なのです。
楽しみは、まだまだ続きます。
この先も、洪作の成長を見続けることができるのです。

既にAmazonで、『夏草冬濤』を発注しました。
今から、ページを開いて読み始めるのが待ち遠しいです。


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