【読書】早見和真(著)『アルプス席の母』を読了して、野球というスポーツの過酷さを感じる。
昼休みに食堂に行くと、テレビで高校野球の神奈川県大会の中継が放送されていました。
小説ではない、リアルな高校野球の中継を見ていると、とても苦しくなってきて、食事が喉を通らなくなってきました。
液晶画面に映し出されている選手の顔を見ると、まだまだ子供です。
なぜかその顔は、楽しんで野球をやっているようには見えませんでした。
夏の大会でチームが敗れた瞬間、3年生の選手は高校野球という物語から離れることになります。
その前に、ベンチ入りに選ばれなかった選手もたくさんいます。強豪校と言われるチームほど、ベンチ入りできなかった選手の方がむしろ多いはずです。
高校野球という物語に出演している期間は、高校に入学してから引退するまで、わずか2年と数ヶ月間だけなのです。
野球というスポーツは、とても楽しいスポーツだと思います。
しかし、戦ったている選手にとっては過酷なスポーツです。
身体的な過酷さもありますが、精神的な過酷さの方が大きいと感じます。
どんなスポーツでも、勝つチームがあれば負けるチームもある訳ですが、野球だけはちょっと独特の空気感を感じるのは私だけでしょうか。
もし、マウンドに立っている選手が自分の息子だったら、どんなに誇らしいと思うかと同時に、どんなに恐ろしいことか。
プロ野球中継を見ていても、たった一つの一瞬のプレーが、試合の流れを変えてしまうということがよくあります。
どんなに練習を積んだプロ野球選手でも、信じられないエラーで試合を終わらせてしまうこともあります。
絶対的な抑えのエースでも、ストライクが入らずに押し出しサヨナラ負けを喫することもあります。
テレビに映し出される、太々しく見えるプロ野球選手も、高校野球球児の時代がありました。そしてその周りにはたくさんの支える人たちがいた筈です。
『アルプス席の母』を読んで、全ての野球選手と、野球に関係する人たちを応援したくなりました。