福澤徹三著『侠飯(おとこめし)⑩ 懐ウマ赤羽レトロ篇』|取材の心得と美味しい料理
福澤徹三著『侠飯(おとこめし)⑩ 懐ウマ赤羽レトロ篇』を読み進めています。
同作は、東京の下町、赤羽にあるゲストハウスに滞在する若者3人と、どこから見てもヤクザにしか見えない2人組の男たちの物語です。
現在、第3章の「なぜ東京にはない?浪速の絶品ソウルフード」を読み終えたところです。
各章でさまざまな料理を味わうシーンが描かれていますが、第3章では、ディープソースを付けたアスパラガス、アレンジしたピザ、そしてメインは大阪名物「イカ焼き」が登場します。
どれも美味しそうで、読んでいるだけでお腹が空いてきます。
思わず真似をして、料理に挑戦したくなります。
今回の物語では、売れないライターの若者、薫平が登場します。
彼は、正体のわからない、どこからみてもヤクザにしか見えない2人組の男たちに取材をして、記事を書こうととするのですが、なかなかうまくいきません。
他人に取材やインタビューをして記事を書き上げるのは、決して簡単なことではありません。
ましてや相手がヤクザとなると、一筋縄にいかないのは目に見えています。私からみても薫平は、準備不足です。
取材記事を書くのなら、どんな記事を書こうとしているのか、記事の目的や読者のターゲットなどを明確にして、企画書を作っておくべきです。
そして、どのような目的でどのような記事を作成するのか、事前に取材相手にも伝えておく必要があります。
そうしないと、取材される側もどの様に答えていいのか迷ってしまいます。
当然、取材相手についてもリサーチしておくことが大事です。
もし相手がヤクザなら、その世界について学んでおくべきでしょう。
薫平には、その点が欠けているように思います。
『侠飯』シリーズは、エンタメ性の高い小説でありながらも、「お仕事小説」としても楽しめます。
働くとはどういうことか、生きるとはどういうことかを学ぶことができる作品です。
そして、美味しい料理のレシピも学ぶことができます。
この先、薫平はうまく取材をこなし、記事を書くことができるのでしょうか。
読み進めながら、彼を応援していきたいと思います。
美味しい料理の紹介も、引き続き楽しみです。