季節とのみもの
9月、10月となんだか暖かい日が続いて、冬なんてやって来ないのではないかと思っていたら、最近は北風も吹き急に冬めいてきた。今年もちゃんと、冬が来るらしい。
9月、10月初旬までは、アイスコーヒーを美味い美味いといって飲んでいた。氷で満たしたカップに、濃いめのコーヒーを注いで、ちょうどいい具合に氷を溶かす。年々アイスコーヒーを作る技術が上がっているのか、毎回かなり満足度が高くて、「もう一生アイスコーヒーを淹れて飲んでいればいいや」と思うくらいだった。
でも、今は無理。
冬が来たから。
最近は、毎朝のコーヒーとは別に、ほうじ茶を飲んでいる。とある街のイベントで、ほうじ茶の茶葉が煎られている様子を目の当たりにし、その香りが素晴らしく、1袋茶葉を買ってしまったのだ。
ほうじ茶の茶葉は、普通の紅茶の茶葉などと比べると、細長く固い”茎感”のある姿をしている。本当にこれで美味しいお茶が出るのか…?と疑いたくなるような見た目だ。しかし淹れてみると、ホッとする日本茶ならではの香りと、まろやかで香ばしい、ほうじ茶の風味が口に広がる。おかわりをしてしまうほど美味しかった。
なお、夜はカフェインの入っていない冷やした麦茶や、紅茶・そば茶などを淹れて飲む。自宅で働くようになってから気づいたことなのだが、わたしは夜カフェインを摂ると眠れなくなる体質らしい。これに気付くのが遅く、夜もコーヒーや紅茶をがぶがぶ飲んでは眠れなくなる事象が、しばらく続いた。
わたしはどちらかというと、衣替えよりも、「温かいものを飲むようになる(冬が近づいている)」「冷たいものが欲しくなる(春や夏を迎える)」といった気持ちの変化に、”季節感”を覚える。今回も、毎朝温かいコーヒーを淹れたり、ほうじ茶の茶葉をせっせとティーバックに詰め込むことで、無事「冬がきた」という実感を得られた。
冬がもっと深まれば、仕事が終わらない寒い夜にはゆず茶を淹れたり、じっくり本を読みたい日には熱い牛乳にはちみつを加えたものや、スパイシーなチャイを作ったり、また本当に気が向けばホットワインなどを作って洒落込む…なんて日もやってくるだろう。
そして来年の初夏~秋口までは、また、「もう一生アイスコーヒーを淹れて飲んでいればいいや」と思っていて、急な冬の訪れと共に温かい飲み物を欲す自分に、季節の変わり目を感じるのだろう。
わたしはこのように、1年を通して変化していく”飲み物の変遷”が、けっこう好きだったりする。
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