#130 忘れかけていたもの。
忘れかけていたもの。本当はすぐそばにあるものなのに、何かで覆いかぶさっていて、なかなか見えないようになっている。
本当はやりたくてしかたがなかったのに、いつの間にか、空に浮かぶ雲のように消えていく。
そんなものを、私はとある美容室で拾い上げることが出来た。忙殺という言葉があるように、忙しさに殺されそうになりながら、目の前のことをやることが精いっぱいで忘れかけそうになっていた、そんな時に。
最近はコロコロと美容室を変えながら、色んな人に会えるのを毎回楽しみに、髪の毛を切りに行っている。
今日は青山にある美容室に行ってきた。美容室にしては珍しく、ビルには入っていない1つの建物で、自然に囲まれ、ちょっとしたオアシス気分を味わえる。
いつも大抵どんな髪型にしようか決めていないから、行った当日に髪型を相談して、あーだこーだいいながら、進めていく。そんな相談時には、美容師さんは参考になる写真を携帯で見せてくれる。今日の美容師さんは、海外の女優さんやモデルさんがいっぱいのフォルダだった。なんと趣味のよいことだろうかと思いながら、眺めていた。
色々希望をいいながら、大方の方針が決まったので、シャンプー台へと移動した。そこで、お互いの好きな女優さんの話をして、映画の話になった。彼女は、フランスの女優さんをかなり推していて、私も見たことのある映画の女優さんが好きだという共通点があって、かなり話が盛り上がった。
「私、フランスに1年間住んでたことがあるんだよね」と彼女は話し始めた。だから、フランスの女優さんを推していたのかと、合点。私もそういば、フランスチックなものが好きだなあと、フランスに関わるものの話をしだした。「そういえば、私、いつかフランスに行ってみたいんですよね」そう言葉にしていた自分がいた。
ああ、私はフランスに行きたいんだと思った。思ったというよりか、再度確認した、に近しい。前から、行きたいと思ってた。
「でも、私海外で活躍してうんぬん~みたいなの、ないんですよね」
「海外いきたい!だから行くもんでしょ」
「確かに。笑」
人生なんて、そんなものなのかもしれない。
あそこに行きたい。あの本を読みたい。あの映画を観たい。
そんな自分の欲を存分に叶えていくのが、人生なのかもしれない。
帰り際は、楽しい妄想であふれかえっていたし、好きな映画をもう一回みたいな~と思いながらサウンドトラックを聴いてるんるん気分になってしまっていた。
そして、私も、こんな”美容師さん”になりたいと思った。
忘れかけていたものを取り戻した貴重な1時間だった。
あなたの光輝く「忘れかけていたもの」はなんですか。
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