マンガデザインプロデュースby Manga Designers Lab.⓭予防インフラ2023〜先人の教えをマンガデザイン〜
どうもどうも、吉良です。
2023年9月1日は、1923年(大正12年)9月1日11時58分32秒に発生した「関東大地震(死者・行方不明者は推定10万5,000人)」からちょうど100年目の節目にあたります。
関東大震災は、相模トラフを震源とする海溝型地震です。東京での大火災による被害があまりに大きかったために、東京の地震だと思われていますが、僕の住む神奈川県から千葉県南部を中心に震度7や6強の地域が広がっており、その範囲は、1995年の阪神・淡路大震災の10倍以上に達するといわれています。
この9月1日を「防災の日」として制定したのは、1960年からです。
「政府、地方公共団体等関係諸機関をはじめ、広く国民が台風、高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備する」ために制定されました。
また、この「防災の日」を含む1週間を防災週間として、様々な国民運動が行われています。
この情報を最初に伝えてくれたのが電通時代の後輩で、現在マンガデザイナーズラボをヘルプしてくれているスタッフでした。2022年の夏に2023年のできごとリストを出してもらいました。
その中にあったのが関東大震災から100年目。それを目にした瞬間に僕の企画イメージは膨らみ、絶対決まる企画のイメージも生まれました。
そのプレゼンテーション先は日本経済新聞社の広告コミュニケーションユニット。コロナ禍の2020から毎年必ずプレゼンをおこなっていて、過去「SDGs企画」「障がい者スポーツ企画」「沖縄返還50周年企画」等、複数の社会性のある企画を日経企画として実施していただきました。
2023年度の企画のプレゼンテーションの実施は、9月30日。複数提案の中、予想通り確実に「防災の日・関東大震災企画」は、担当者の心に届いたと確信しました。
2週間後くらいでの返答ということで、「果報は寝て待て」状態になりましたが、その場のプレゼンテーションの雰囲気からも決定する確率はかなり高かったです。それだけ、タイミングをとらえた良い企画だったと思います。
そして、その結果は想像を超えた形で結実しました。
電通時代から何度もプレゼンテーションをやってきて、たくさんの決定をクライアントさんからいただいてきました。基本的には企画案通りか、縮小。膨らんだとしても2倍くらいまでと感じていましたが、その想定をはるかに超えた返答をいただきました。
僕らが提案したプロデュース企画は「9月1日、防災の日当日に4C2P(カラー見開き)以上のマルチ」でした。しかし、実際のお返事は「2023年度の重要企画として9月1日に向けて6回シリーズでやりましょう」という、今までに経験したことのないプレゼンに対して6倍のオーダーという形になりました。
ここで改めて関東大震災という地震についてだけではなく、あらゆる災害、まさに防災の日のコンセプトである「広く国民が台風、高潮、津波、地震等の災害についての認識の拡大」それに「防災に向けたインフラの整備」、「自分の命は自分で守る」などを総合的に考えました。
コロナ禍で国民に根付いた「予防」という意識の向上をベースに「予防インフラ」というコピーをイメージし、これに2023年を加えて「予防インフラ2023」というメインテーマを考察しました。
ここから、6回のシリーズ掲載について具体的に説明、解説していきます。
シリーズ❶は1月17日、まさに1995年の阪神淡路大震災から28年目に合わせた掲載日でした。「予防インフラ2023」を象徴するメインデザインをしっかり制作しました。
関東大震災から節目の100年の「100」を目立たせずにデザイン。今後のマンガデザイナーズラボのマッピングデザインに並ぶ新たなデザインの方向性としてステンドグラスをイメージした作品です。
シリーズ❷は3月11日、まさに2011年の東日本大震災から12年目に合わせた掲載日でした。この頃になると想定通りにNHKをはじめ各メディアが「東日本大震災から12年と関東大震災から100年」の関連性をつなぎ合わせて南海トラフや相模トラフ大地震の可能性を伝え始め、見事なシュミレーションで予防の大切さを訴求し始めました。
その中で、社会インフラの重要性はさることながら、「自分の命は自分で守る」大切さを伝えていました。それを「生活予防インフラ」と名付けて耐震、防潮(津波・高潮)の予防インフラ活動をマンガデザインしました。マンガ+グラフィックデザインを実証しました。
6月のシリーズ❸は、マンガデザイナーズラボ最大の話題作品になりました。シリーズ❸以降はビル工事、水道工事、空調工事、道路工事、橋梁工事、トンネル工事などに携わるエッセンシャルワーカーの皆さんへの感謝をデザインし続けました。
ベースの考え方を変えずに、デザイン手法においてはマンガデザイナーズラボのクリエイティブディレクターとの緻密な打ち合わせをおこない、日経担当のニーズを加えて創りました。
シリーズ❸はデータをマンガデザイン化させたインフォグラフィックにマンガデザイナーズラボ得意の未来マッピングデザインで橋梁、高速道路、トンネルの予防インフラ活動をデザインしました。
このデザインが他のクライアントにしっかり届き、来期以降のマンガデザイナーズラボの展開を支えてゆきます。
7月のシリーズ❹は、まさに最近の気候変動に合わせたタイミングで台風、豪雨、線状降水帯、洪水、河川堤防などについてマンガデザインしました。
気象衛星の進歩を表現することにより、仮想空間から伝達される天気予報の信頼性を認識させ、無駄になるべき避難の重要性を感じてもらうことを上段、中段、下段にテーマを割ってデザインしつつ、全体に統一感のあるポスターのような効果を狙いました。
また、河川の安全性を向上させるための堤防工事などの予防インフラの重要性を伝えています。
シリーズ❺の掲載日は8月1日、まさに夏休み真っ最中。日本経済新聞の読者層は在宅リモート層も多いことを考えると、親と子のコミュニケーションが生まれるような企画をイメージしました。
8月のテーマは北海道で行われる下水道展との関連性を持たせることが決まっていたので、「子供が感じる上下水道の疑問」をコマ割りマンガで、上下水道の地上・地下のイメージ図をマンガデザインマッピングで描きました。
水道工事という目立たないインフラ作業をして日本を支えるエッセンシャルワーカーの皆さんのモチベーションアップをキャラクターデザインで表現しました。これからのマンガデザイナーズラボを支える新しい構図が生まれました。
シリーズ最終回はまさに総集編。関東大震災から100年目の9月1日「防災の日」に合わせて、過去から学んだ現在とこれからの100年を意識しました。
背景はシリーズ❶のステンドグラスイメージの100デザインを使い、未来を築くために実際に工事に従事するエッセンシャルワーカーや工事現場をマンガデザインし、その完成が生活者たちの当たり前の日常に移行してゆく姿をマンガデザインしました。
文中のメッセージにすべての想いをこめました。マンガシーンは日常の1日を挨拶シーンで、そしてラストシーンは多様な人々の笑顔で表現しました。
このシリーズデザインの分かりやすさと日本経済新聞社の営業力により、45社(弊社とのコラボ企画で過去最高)もの協賛社が集まりました。
また、弊社にも数多くの企業からお問い合わせをいただき、大手企業の未来社会のデザイン制作にも繋がったものもあり、まさにマンガデザイナーズラボの未来にも繋がりました。
来年度のプレゼンテーションもすでに終えました。
マンガデザイナーズラボの今期を超えた企画プロデュースをお楽しみに。