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詩のまとめです。暗いの多め。
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2014年11月の記事一覧

オートマター

オートマター

僕の顔した関節人形
バラバラに壊れて
ビスクドールじゃなかったから
砕け散りはしませんでした

いつの間にか君はいなくなって

おいかけたくても
僕の足は外れたまま

足を捜したくても
僕の目は無くなったまま

手探りしようとしても
僕の手は犬が持っていきました

耳をすましても
木でできた鼓膜は振動しませんでした

いつのまにか君はいなくなって

僕はここで土に還るのをただ待っています

晴天

晴天

ぐるりぐるりと思考の迷路
隣に立つ君をぼんやり眺めてる
本日は晴天なり
青く青くどこまでも青く

僕を殺しちゃったこの世界にだって
きっと救いはあるよって
君は言った。君は笑った。

死んじゃった僕はぼんやりと君を眺めて
網膜が焼き切れそうだなあ
ぐるりぐるりとそんなことを考えて

僕は死んだ。僕は笑った。
#詩

終

夜空に月が霧散する
太陽は悲鳴をあげて燃え尽きる
僕は布団に沈み込み君は静かに窒息する
青い空は端から焦げる
水は零れほとばしる

君は何が欲しかったの
そんなことすらわからないまま
僕らはこの死にゆく世界で2人きり
#詩

ゆりかご

ゆりかご

やさしいゆめをみてた

ゆらゆらとただようゆめをみてた

ただぬくもりにつつまれていた

やさしいゆめをみてた

やさしいゆめがさめた

めざめたぼくをまってたのは

あまいあまいぜつぼうでした

革命の朝

革命の朝

ひかりが空からふりそそぐ
みんなが歓声をあげている

世界は生まれ変わるらしい

祝福の鐘
幻想的な風景

膝を抱えて見上げる僕
ひかりに包まれて目を閉じる
狂騒が耳に痛い

別に終末を望んだわけじゃなくて
僕だけがその蜘蛛の糸に手を伸ばさなかった
ただ、それだけ

狂ったように鐘が鳴り響く
みんながひかりにむかって這い上がっていく

世界が生まれ変わる瞬間だ
新しい世界目指して空が割れる
まぶし

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砂丘

砂丘

まるで砂漠みたいだ
照りつける太陽
ゆらめく光景
誰もいない午後

ひび割れた心を壊さないようそっと包んだ
その手ももう傷だらけだ

静かに静かに
灼けた砂に埋まるように
僕の体は浮遊していく

このまま
骨になるまで
ここで僕を溶かしてくれ

そんなことを、ただ、ただ
#詩

空洞

空洞

心の中に
どうしようもないくらいの空洞があるんだ
感情も全部吸い込まれてしまうんだ

それが寂しくて寂しくて仕方ないんだと
感情のない僕はぼんやりと思う
涙も出ない僕はぼんやりと思う
#詩

投射

投射

たとえばさ、
さよならしちゃってもいいんだよ
生きていくのが怖いなら
そこから跳んでもいいんだよ
少しの勇気と少しの決意で
足元の台を蹴り倒してもいいんだよ
ほんの少しの間だから

それでも怖くて怖くて仕方ないなら
日常をただ食い潰していけばいい
傷だらけの手首ごと
君のことを抱きしめよう
#詩

廃棄物

廃棄物

苦しくたって
感情は燃やせばいい
決められた日に公園の横に置いてくればいい
たくさんの不要ななにかと一緒に

絶望は埋めればいい
深いふかい穴の底に水の下に
この地球の絶望と一緒に

そしたら

手づくりしたこころをかかげて
手づくりした希望をかかえて
手づくりした僕でいて

それでこの世界は僕を受けいれるんだろ

地面の下で冷たくなった心臓は置きざりにしたままで

渇望

渇望

暗い部屋 床の上
ヘッドホンで現実を遮断
ズキズキするのは心であって
それは手首じゃないんだよ

死にたいわけではないけれど
生きているのも嫌なんだ

涙なんてもう何処かへ消えた
ただただ渇いた目を持て余してる

僕を誰か終わらせてくれって
只管待っているだけなんだ

潜水、後、晴。

潜水、後、晴。

誰もいない夜でした。
声にならない声で叫びました。
何かが僕の心臓のなかで暴れまわっていました。

腕を引っ掻き、頭を掻き回して床の上を転げまわりました。

けれど、どれだけ喚いても傷をつけてもなんにもならなくて。
糸が切れて、全部どうでもよくなって、僕は床に沈みました。
転がる僕が見上げた部屋は小さく、
ぼんやりしたままの僕は、それを潜水艇に見立てて夜に沈んでいきました。

望んだのは明けない夜

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星が降る夜
傷口を切り開いて
忘れていた感情を取り出した

降り注ぐ星の下で
手にした感情がきらきらと散らばった

僕はそれを見て、
それを見て、
ただひたすらにこぼれてくる涙を拭う