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家庭平和の為のヒミツ

母は、お正月に興味を示しません。

ところが…。

テレビで餅つきの映像が流れると、急に目をキラキラと輝かせ始めます。

「お父さん、アレ欲しいねん!」

母は極貧家庭に育ち、親に餅を食べさせてもらえませんでした…。

母の要求に頭を抱える父。

珍しく、母の願いにダメ出しをします。

「あんなモン買ったら、大事になると!」

なんと、母が欲しがったのは、餅そのものではなく、木の臼と杵。

ちなみに、父の実家には、石臼と杵がありますが…。

父が、言います。

「あんなモン家に置いたら、誰が餅をつくことになると?」

まあ、無精者の母が自ら餅をつくとは、到底考えられません。

それでも、毎年、この攻防は続きます。

「お父さん、アレ買うて~な!」

「買いに行こうな!」

とあるホームセンターで、木の臼と杵が売られていたのを目にした私。

この事を母に教えたら、父に恨まれるに違いない…。

「どこに買いに行けば良いかわからんと!」

そう、のらりくらりとかわす父。

時に、家庭平和の為に、秘密は必要なのでした(笑)。


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