悲しい理由と大人の気遣い
母は、帰省すると1か月は、実家に住み着いてしまいます(笑)。
ばあちゃんが、冷蔵庫の中に母や私の好物を準備します。
いやはや、親とは、実にありがたいものです。
ばあちゃんが、幼い私に言います。
「お母さんは、どうしてマーガリンを食べへんのかなぁ~?」
ばあちゃんは、いつも新品のバターを用意していました。
最初は、特に気にせずに聞いていたのですが、ばあちゃんが我が家に遊びに来た時も、この質問がされていることに気が付きました。それも、何度も。
ばあちゃが我が家に遊びに来ても、母は決してマーガリンを用意しません。
「バターは、ゴロゴロして塗りにくいわ。お母さんは、なんでマーガリンを買わへんのかなぁ~?」
マーガリン問題について、かなり執着しているのでした(笑)。
母は、食品添加物に敏感な人です。「きっと、体に悪いから食べないのだろう」私は、そう思っていました。
ばあちゃんは、直接母にしにくい質問を、私にする傾向があります。
憶測で答えるのも悪いと思い、母に直接聞いてみることにしました。
すると、「あんなもん、体に悪いやんか!」との答えが・・・。
「やっぱり、そうか!」私が納得した途端、続きが始まります。
「それとなぁ~、ウチは貧乏やったさかい、ばあちゃんは、バターを買えんかったんよ!ほんで、あの人は、私らにあんな不味いもの(マーガリン)を食べさせ続けたワケや!」だんだん、語気が強まります。
「あんなもん見るとなぁ~、貧乏生活思い出して嫌気がさすねん!」
「ばあちゃんにも、そう言うときやー!」
「なんで、直接私に聞いて来うへんのか!」もう、半分怒り気味です。
母のたっての希望です。
ばあちゃんに、「なんか、お母さんなぁ~、マーガリンを見ると、貧乏生活を思い出して嫌気さすねんて!」と伝えてみたところ・・・。
「なんやて!マーガリンは美味しんねんで!」ばあちゃんも怒り気味です。
なんか、不穏な雰囲気になってしまいました。
家に帰って、父にこの出来事を話してみたところ、
「バカ、お前は、何と思いやりの無い子なんか!」
「ばあちゃんの気持ちを、ちゃんと考えんか!」
「なんでも、そのまま伝えればいいというもんでなか!」
などと、叱られてしまいました。
それを聞いた母が、父に言います。「私が、話すように言うたんや!」
「親は不都合な真実も知るべきだ」とする母と、「親を悲しませるような事を言うべきではない」とする父。
「大人の世界は、難しいいんだなぁ~」とつくづく実感する私なのでした。