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本末転倒
母方の祖母の兄。
祖父程ではないけれど、物凄くケチ。
この兄は、かつて会社を経営していた元社長で、大変なお金持ちです。
ところが…。
生活レベルは、とても抑え気味。
70歳まで、今にも崩れそうなボロ家に住んでいました。
平成の世に、お風呂は、五右衛門風呂。
ティッシュは買わずに、新聞紙で対応。
ある夏の暑い日。
祖母の家にやって来た兄。
下着(シャツ)を着ることもなく、直接化繊のブラウスを羽織っていました。
ブラウスは、汗でボトボトで、皮膚にベッタリと張り付いていたそうです。
可哀想に思った祖母が、シャツを脱ぐ様に勧めます…。
祖母の家で、上半身裸でぐったりとする兄。
そして、言いました。
「アイツ(兄の妻)が、遠回りする様に言うネン!」
「遠回りした方が、交通費が安くなるやろ~!」
「こんな暑い日に、炎天下のバス停で1時間も待ってられるかっ💢😠💢」
「(妻の)言うこと、聞いたらへんかった!」
ちなみに、兄の妻は、兄よりもケチ。
祖母が、怒ります。
「夫(兄)が熱中症にでもなったら、どないするんか😠」
「(兄の妻は)思いやりがない!」
「たかだか、数百円の差やないか!」
そうこうしているうちに、兄の妻から祖母に電話がかかって来ました。
「(夫は)もう、着いたか?」
そこで、祖母は「着いたで~」と答えたのですが…。
兄の妻が、言いました。
「おかしいな~」
「早う着き過ぎやで!」
「(夫は)ちゃんと、私のいう通り(交通費の安い遠回り)にしたんか?」
これを聞いて、焦る祖母。
「エライ事、言うてしまった…」
兄が妻に叱られることを恐れた祖母でしたが…。
とっさに、言葉が降りて来ました。
「なんか、丁度遅れていたバスがやって来て、待たんで済んだらしいで!」
兄の妻は、これに対して…。
「そ~か~」と返答。
ホッと胸を撫で下ろした祖母。
この一連の事件を知った母が、言いました。
「ケチと暮らしとったら、嘘つかなアカン様になるんやで~」
「あれやったらな~、お金持ってないのと一緒やないか!」
「もー、物事の本質が見えん様になって、ケチが目的になっとるんやわ!」
「あれで、(兄の妻は)喜んどるんやから、しゃ~ないわ!」
どうやら、ケチは人の頭を悪くするらしいのでした…。