小さな風鈴【カナムグラ】
こんにちは、うりぼうです。
ちょっと間隔が空いてしまいました。
ゆっくりですが更新は続けていきますので、気が向いた時や、今どんな野草があるのだろう?と思った時にでも覗いてくださると幸いです^^
さて、今回も前回の「クワクサ」に引き続き地味な野草です。
気付くと「おおっ!」となるのですが、気づかないと「大きめの葉っぱが邪魔だな」「ツルだし抜きにくいんだよね…」なんていう感想を持たれてしまう彼らの名前は「カナムグラ」。
少しでも身近に感じて頂けると幸いです^^
どんな野草?
「カナムグラ」はアサ科カラハナソウ属の野草で、荒地や道ばたなど、ごく身近に生えています。
全体の様子はこんな感じ。これが庭にはびこってたらどうしよう?!という感じの植物です。
大きな掌のように裂けた葉が特徴で、写真では5つに裂けてますが大体5~7つに裂けるようです。
またこの葉っぱは「キタテハ」という蝶の幼虫の大事な食草でもあります。
昆虫がお好きな方ならご存知の野草かもしれませんね^^
「カナムグラ」には茎には下向きの棘がたくさんあって、触れるとなかなか痛いです。
私は引きちぎった経験がないのですが、中には手を切ってしまうこともあるそう!恐ろしい切れ味ですね…
この棘があることで、他の植物などにしっかり絡みつきやすいのかもしれませんね。
「カナムグラ」さん色々工夫しています。
「カナムグラ」は漢字で書くと「鉄葎」。鉄は「茎が鉄のように頑丈で強い様子から」、葎は「よく茂る」という意味だそうです。
なんだか強そうです(笑)
雌株と雄株
「カナムグラ」は、雌雄異株です。
つまり雌花のつく雌株と、雄花のつく雄株があります。
それぞれをじっくり見てみましょう!
🌱雌花(めばな)とホップ
雌株と雄株は花の咲く季節は、そのお花が全く違う様子なので見分けるのは簡単です。
まずは雌花から観察してみましょう!
今雌花と紹介した蕾のようなものは、正確にはたくさんの雌花の集合体です。じつは本当の雌花はパッと見ただけでは見えないのです。
雌花一つからは2本の柱頭(受粉するところ)を伸ばします。
つまり写真には少なくとも2つの雌花があるわけですね^^
最初は緑の雌花ですが、次第に赤紫色に染まってきます。
この時期の雌花の色はとても綺麗です。
ところでタイトルに「ホップ」と書きましたが、「カナムグラ」はホップの近縁種に当たります。
ホップはみなさんご存知のビールの原料ですよね🍺
ホップは、雌花の花の時期が終わると「毬花」という松ぼっくりに似た形になるのですが、「カナムグラ」も小さなホップのような形になります。
ホップは和名で「セイヨウカラハナソウ」と言います。
「カナムグラ」が「カラハナソウ属」に属していることからも、近い種なんだとわかりますね^^
🌱雄花(おばな)と花粉症
次に雄花の様子を見てみましょう。
「カナムグラ」の雄花は小さく、たくさん咲きます。
淡い緑色の5枚の花びらに大きめのおしべが5つぶら下がっているような形です。
この構造、じつはとてもすごいのです。
「カナムグラ」は「風媒花」で風で花粉を飛ばす植物なのですが、少し風が吹くと、すごい勢いでおしべが揺れます。まるで風鈴に垂れ下がる紙が風を受けて揺れるよう。
わかりにくいかもしれませんが、揺れている様子が少しでも伝われば嬉しいです。
このように「カナムグラ」は風で花粉を飛ばすため、ヨモギ、ブタクサなどと並んで、秋の花粉症原因の一つにもなっています。
花粉の飛散距離は数十メートル。量もあまり多くないのですが、身近にある植物だけになかなか影響を受けやすいようです。
百人一首の「ヤエムグラ」
以前「ヤエムグラ」を紹介した時、百人一首の紹介をしました。
これですね。
この歌の「八重葎」はつる性の植物だったというお話をしました。
現代語訳では以下のようになっています。
このつる草は「カナムグラ」だという説があります。
確かに「ヤエムグラ」は大きくなっても1mほど。「荒れてさびれた家」にはならない気がします。そもそもつる性の植物ではないありません。
反対に「カナムグラ」だと、どこまでも巻き付いてボロボロなイメージに合いそうな気がします。
おわりに
今回は「カナムグラ」を紹介しました。
「カナムグラ」を最初に見つけたのは、赤く色づいた雌花でした。
「なんか変なのがある」が最初の感想。
それが「カナムグラ」だと知って、今年タイミングが合いようやく雄花を見ることができました。
風に揺れる雄しべを見ながら、「これが全部風鈴だったら、とてもかわいい音色を鳴らすのだろうな」な思ったりしながら食い入るように見ていました。
今になって思えば、マスクをしていたから良かったものの、マスクなしだと、もしかした花粉症を発症していたかも?!^^;
ちょっとだけホッとしています。
「カナムグラ」の花の時期は10月頃までとされています。
雄花はもしかしたら終わりに近づいているかもしれませんが、赤い雌花はこれからでも見れますので、出会えたら嬉しいです^^
その際、念のためマスクをしておいた方がいいかもしれません^^;
最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。