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裁判の傍聴

大学時代、教授に裁判を見に行くという課題を出されました。

とりあえず、友人と地方裁判所に行きました。

壁に本日の裁判の予定表が張り出されていました。

裁判所内をウロウロしていたら、かなりお年を召したおじいちゃん弁護士に声を掛けられました。「傍聴に来たの?」

如何にも学生らしき私たち。他に傍聴人はいませんでした。

民事裁判より刑事裁判の方を傍聴しようという事になり、「窃盗」の裁判を傍聴。先程のおじいちゃん弁護士が、のっそりと登場します。

証言台に刑事が立ちます。被告人を捕まえた経緯が語られます。

「駅で、スリ眼を飛ばす被告人を発見しました。後を追っていたところ、犯行に及んだので、被害者と被告人を確保しました。」

刑事は、スリの飛ばす独特の視線を見分けられるという事を初めて知りました。それが、スリ眼と表現されることも初めて知りました。

被告人は、少し変わった格好をしていました。こんな格好で、法廷に出てくるなんて・・・。まるで、喜劇役者みたいでした。

すっとぼけた顔をして、淡々としている被告人でしたが、何だか生命体としての輝きが感じられません。本当に獲物を狙う狩人なのでしょうか(笑)?

裁判官も検事も弁護士もみんな、けだるそうにしています。遠くにいると、各々が何を言っているのかよく聞こえません。

テレビで見る裁判のような、厳正なる雰囲気もなく、拍子抜けをした友人と私。「なんか、井戸端会議みたいだったね。」

「スリ眼」という言葉だけが妙に印象に残った裁判でした(笑)。


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