力まれてもね…
母は、大変不器用。
いつも、力配分が上手く行かず…。
私を出産したばかりの母は、凄い勢いで育児に没頭。
「もう少し、手を抜かんと!」
父のアドバイスも耳に入りませんでした…。
案の定、燃え尽きる母。
「お父さんに申し訳ない…」
母の実母(祖母)が、遠くから飛んで来ました。
すると、強烈な脱力感が母を襲います。
母は、お布団から出られなくなってしまいました…。
「あの婆さん(実母)が、何とかやってくれるだろう…」
祖母は、生まれてすぐの母を捨ててしまった過去があります。
それでも、母は、働いて稼いだお金のほとんどを祖母に渡していました。
故に、母に頭が上がらない祖母。
母の子供に対して、手抜きは許されません。
もし、万が一、子供が死んでしまったなら、気性の激しい母に殺されかねません…。
それでも、律儀な祖母は、母に恩返しをせずにはいられないのでした…。
可愛そうな運命を背負った祖母は、父と2人で育児を開始。
幸い、父は呑気者(笑)。
「お義母さん、気楽にせんね!」
そう、言葉をかけます。
性格が穏やかな祖母と父は、平和に育児を始めたのですが…。
やがて、若干の体力を回復させた元悪ガキの母がそこに登場。
変な三角関係で、嵐の予感…。
「従順な子は、つまらんのじゃ~」
奇妙な趣向を持つ母に、危機感を覚える祖母。
「なんとしても、下品な子供にしてはいけない!」
まあ、反骨精神でここまで生き抜いて来た母。
その気持ちも、分からないではない…。
祖母と母との新たな戦いが開始。
その時、父は思っていました。
「生き方は、この子が自ら決める他はない!」
祖母と母の熱意も虚しく、私はどうやら、父的生き方を選んでしまったのでした(笑)。