どこに線を1本引きますか?
数学の幾何問題を解く際の重要な一手ともなる「補助線」。
中には、
「え~っ!そんなところに?」
と文句をつけたくなるような
“アクロバティックな補助線”
が必要な問題もありますが、大概の入試問題は、
“論理的に考えていけば引ける補助線”
で対応できるはずです。
問題文がわずか1~2行であっても、ダラダラの長文であっても、
“与条件こそが全て”
というところが、数学の問題を取り組みやすいものにしてくれていますね(現実社会の諸問題とは違って…)。
ですから、
「与条件を漏れなくチェック」
したら、幾何問題においては、それを
「できるだけ忠実に反映した図を描く」
ことが解決へ向けての近道となります(“視覚情報”は結構重要です)。
その図を元に考えれば、
「引くべき補助線」
が何となく浮かんでくるはずです(多少は慣れが必要かもしれませんが…)。
今回の問題は高校入試レベルではありますが、
「三角形の合同を導ける」
ならば誰でも解くことができます。
一見難しく感じるかもしれませんが、与条件をよく読んで取り組めば、
「補助線をどこにどのように引けばいいか」
がわかるはずです。
決してアクロバティックなものではなく、
“論理的に考えてごくごく自然に浮かんでくるもの”
でいいのです。
※入試において、それでも太刀打ちできそうもなければ、
“後回しにすべき問題”
だということです。
【問題】
AB>ACの△ABCの辺BCの中点をDとする。
線分AD上にAC=BEとなる点Eをとり、さらに点Cから線分ADに下ろした垂線との交点をFとする。
このとき、△ABEと△CDFの面積比を求めよ。
とにもかくにも、
「与条件を反映した図」
を“大きく”描いて考えましょう。
当然、
「人によって描く三角形に違いはある」
ものの、与条件を反映してさえいれば、
「誰でも同じ答えに帰着」
します。
それを理解してもらうためにも、
「図を自ら描いて解く」
体裁の出題形式にしています。
(注記)
「小学生」
または
「注意不足の中学生」
に向けて記しておきます。
“線分”と“直線”の違いをしっかり把握した上で問題に取り組みましょう。
「“線分”AD」
とは、
「 点Aと点Dを通る直線のうちA~D間のみの部分」
であり、
「“直線”AD」
とは、
「 点Aと点Dを通る端点のない無限な一直線」
を意味します。
ですから、
「線分AD上に点E,Fがとれない図」
を描いて考えるのは、与条件と合致しないことになります。
つまり、いくら人それぞれとは言え、
「BD(=CD)>ACとなる△ABCを描いて考えてはいけない」
ということです。
入試などでは、上記のようなミスを防ぐために、不必要とも言える過剰な条件が記されていることもありますが、日頃から
「問題文に記された与条件を正確に読み取る」
訓練はしておきましょう。
【解説】
引くべき補助線は、
「点Bから直線ADへの垂線(交点をG)」
ですね。
「AC=BE」
という与条件から、
「△ACFと合同な直角三角形をつくる」
という発想は
“ごくごく自然なもの”
ですね。
(※もし同感できないならば、もう少し“慣れる”訓練を積む必要があるでしょう。)
すると、
「△BGD≡△CFD」
から、
「GD=FD」(*1)
となります。
前段の
「△ACF≡△EBG」
より、
「AE=FG」(*2)
が導けるので、(*1),(*2)より
「AE:DF=2:1」
∴△ABE:△CDF=2:1
★今回の問題は、
「都立青山(2024)」
の入試問題から発想を得て作成したものです。
実際の設問では、
「∠BED=∠CADの証明問題」
でしたが、これでは簡単すぎるので、ちょっと考えさせる設問に変えてみました。
(※実際の入試問題とは「頂点の名称」も変えてあります。)