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「好き」を貫く人生~さかなのこ

編集部のエイミーです。
「映画館で見る映画の良さを多くの人に伝えたい」
そんな思いで映画と映画館愛を語ります。
 
「ギョギョギョ」でお馴染みのさかなクン初の自伝的エッセイが原作の映画「さかなのこ」(沖田修一監督・脚本/139分)を見ました。主人公さかなクン役は、アニメーション「この世界の片隅に」で主人公すずの声を担当したのんが、性別の垣根を越えて演じています。

鑑賞映画館は広島の中心地にある映画館「サロンシネマ」。劇場と劇場の間にある赤いじゅうたんが敷き詰められた廊下の両壁には、次回作のポスターがずらりと並びます。

レッドカーペットを歩きながら次回作に思いを馳せる

魚が大好きな小学生ミー坊は四六時中、魚のことばかり考える生活を送っていました。ほかの子どもとは少し違うことを心配する父親(三宅弘城)。対照的に、信じて応援し続ける母親(井川遥)。そんな環境の中、のびのびすくすくと成長します。高校生になったミー坊(のん)は、相変わらず魚に夢中。「好き」を貫きマイペース。町の不良たちとも不思議と仲良しです。卒業後、母の後押しもあり、一人暮らしを始めます。魚と触れ合える仕事がしたいと水族館やすし店などで働きますがうまくいかず…。それでも多くの出会いと優しさに導かれ、ミー坊らしく生きられる道へと進んでいきます。
 
とにかく優しい映画。それが第一印象です。風変わりなミー坊を周りの人たちが否定もせず、受け入れてくれる姿に涙腺が緩みます。一見、夢物語のようでうそくさくなりそうですが、ミー坊のキャラクターの強さとかわいさがリアリティーを生み、説得力があります。そして、なんといってもお母さんの底抜けの温かさ。井川遥演じるお母さんは、誰になんと言われてもミー坊のことを信じ全てを許し、背中をそっと押してくれます。自分のことを心底信じてくれている人がいるという安心感とミー坊の素直な性格が相まって、今のさかなクンができたのだと納得できます。きっと、子どものころは誰しもが持っていたそれぞれの「好き」。でも、皆と同じでないと息苦しさを感じてしまい、気が付けば手放してしまっていた―。大人になっても「好き」を貫き、体現しているさかなクンが人気を集めているのは、羨望の眼差しからかもしれませんね。
(編集部・エイミー)

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