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私の夫は”怪物”です。

私(T社長に電話をかける):「T社長、Aさん(夫)がもしまた暴れたら、、、
ちゃんと止めてください!あの人は、怪物だから。」



私の夫は優しく、温かい、頼もしい人だ。仲間も多い。動物にも優しい。
荒っぽいが男気がある。私は長らくそんな夫に寄り添ってきた。とても充実していた。
でも……


夫の心には、傷がある。深い深い傷。
いや本当のところ私はわからない、でも…


ある。
きっと子供の頃にできたのかな。
……辛かっただろうね。

手当てしてくれる人がいなかったのか、結局自分で絆創膏を貼ったんだろうな。そんな気がする。あの人は強がりだから。


でも、あまりにも深い傷だから疼くんだろうね。痛くて苦しくて耐えるのが辛くて、イライラするんだろうな。誰もその傷に気づいてくれなくて、手当てもしてくれなくて、痛みが怒りに変わるんだろうな。

だから、夫は誰かを傷つける。そして、その傷はまた深くなって治らなくなる。
一人、絆創膏を貼るんだ。もっと大きくて分厚いやつを。それから疼いたときは、何枚も何枚も貼っていくんだ、痛い、辛いって思いながら。一人孤独に。


そのうち、絆創膏が重なりすぎて傷がどのくらい深いのか、どのくらいひどいのか、そもそも傷がどこにあるのかさえもわからなくなるんだ。
でも疼く。辛い。怒りを覚える。どうにかしろってね。

傷が疼く、怒り、誰かを傷つける、絆創膏を貼るっていうループが出来上がる。
夫はもう、傷のことよりもこのループを繰り返すことが癖になってる。

無限ループのビー玉みたいだ。


早く!そのビー玉を拾い上げなきゃ!


私はそんな夫の傷に、いつからか気づいた。疼くことも怒りに変わることも。
そして……

私は夫に傷つけられていることも。


夫が自分で貼った絆創膏は効き目がない。間違っている。でも貼り続けて見えなくなった。傷も本当の夫の姿も。


剥がさなきゃ。
剥がさなきゃ。
でも剥がそうとすると怒る、逃げる、傷つけられる。


『わからない……どうして?』


そのうち私にも擦り傷がいっぱいできた。深い傷もある。
もう夫の手当てをすることができそうにない。横にいて寄り添うこともできないかもしれない。

私はもう他の誰かに手当てをしてもらわないと助かりそうにない。無理しすぎた。


だから、夫から離れる。そうしないと、この”怪物”に今度は……


殺される。


絆創膏を貼りすぎた”得体の知れない”暴れ者。


今日もまた”怪物”の傷が疼き始める。怒りの気配を感じる。もう誰も止められない。

新たな犠牲者が出るかもね。


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