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「悪い残像を意識する」ということ
決裁者、特にエンタープライズ系企業の役職者や意思決定者は、日々多くの売り込みを受けています。もちろんあなたの競合サービスの提案も頻繁に届いており、これらの中には導入後に期待を下回る結果となった例も少なくありません。
このような経験から、相手が貴社サービスの価値を感じる前段階で、「悪い残像」を思い出し拒否反応を示してしまうことがあります。
今回はこの「悪い残像」を逆手に取り、良い印象を与え商談を優位に進める考え方を紹介します。
提案のアプローチ: 差別化を明確に伝える
当たり前ですが競合との違いを具体的かつ端的に説明することで、相手の心に響く提案を行います。以下はその一例です。ポイントは、既視感のあるサービスだけど一味違うと思わせることです。(全く新しいサービスだと、かえって導入し辛いです)
例文: 「××サービスですが、ただ××の点で他社の××サービスとは異なります。理由は以下の通りです。」
具体的な理由と仕組みをわかりやすくまとめると、説得力が増します。
例えば、以下のようなコンサルティング会社の場合です。
コスト優位性:本国への上納金がないため、クオリティを担保しつつ他社の約3分の2以下の価格で提供可能。
人材の適合性:案件ごとに最適な人材を弊社のフリーランスプールから選定するため、会社都合による人員ミスマッチがない。
質の担保:プロジェクト管理を弊社社員が週ごとに行い、継続的な質の向上を保証。
※4.5年前はこの手のコンサル企業のウケは良かったが、同様の仕組みで行う企業が増え若干飽和状態な印象なので現在はもう少し差別化が必要な気もしています。
このような訴求をすると、過去に大手コンサルに依頼し、高額のフィーを支払い、ミスマッチした社員をアサインされ、質でも不満を持ってしまったがコンサルに依頼すべき課題を抱えている決裁者からするととても魅力的に聞こえます。
提案のコツ
相手の課題や懸念を把握する:相手が抱える自社と類似するサービスを導入した、もしくは導入検討した際に生じた「過去の失敗」や「ボトルネック」を認識し把握する。チャンスがあれば聞いてみることも重要です。
シンプルで根拠のある具体的な説明:基本的に長く冗長な説明は避け、相手がすぐに理解し認識しているフレーズで伝える。強調し補足する点は、「悪い残像」をカバーできる仕組みや差別化の部分。
相手の視点に立つ:相手が求める結果や安心感、過去の経験を意識し、相手視点で、「自分もしくは自社にとってどう有益か」を認識してもらうこと。
まとめ
商談のはじめに、「過去に競合サービスで失敗した」と言われてたとしても、"そこで終わった"と考えるのではなく、"その状況を利とする"ことが一流の営業マンだと思います。相手が抱える「悪い残像」を把握し、その先入観を払拭する提案をし納得、購買意欲を促すことで、受注へ一歩近づくことができます。