蘚苔むした岩
この記事はやえしたみえ様主催の「カニ人アドカレ2024」5日目の記事として参加しています。4日目の記事はこちら。
どうもパゴパゴです。はじめましての方も、「またお前か」と思った方もおはようございます。連日投稿継続中です。12/2のSSのみ前々から準備しておりましたが、それ以外の記事(12/3以降)は日々の仕事や家事と並行しながら企画を考えたり書いたりしています。
ここまで短納期でポンポン連続投稿するのは未だかつてない経験ですが、脳味噌が常にフル稼働している感覚があり、物書きとして大変いいトレーニングになっていると感じます。すごく楽しいです。
作業時間の制約的に、書けたとしても長くてSSレベルの文章量にはなってしまいますが、せっかく枠に余裕があるので、どこまで続けられるかチャレンジしてみたいと思います(とはいえ流石に二週目まで継続するのは無理だと思いますが……)。
さて、今回は短歌です。普段からたまに作っており、noteにもいくつか投稿したことがあります。
しかし今回はせっかくカニ人アドカレという機会をいただいているので、ただ単に作るのではなく、背景というか設定を決めて作ってみました。
それはズバリ、「かつて人魚族と親交があったと思しき人間の残した歌」です。近々書こうと思っている予定の、とある淡水人魚族とカレシニンゲンとの物語を取り巻く要素として短歌を使おうと考えており、作者は人間だが氏名は不詳、ただその歌だけが現代に伝わっている……という設定で10首作ってみました。ですので、そういう背景があると踏まえたうえでお読みいただければ幸いです。
それではどうぞ。
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川べりの枝より落ちし花びらは在りし日の君の鱗に似たり
蘚苔むした岩に飛びつく 螽斯かろき音色が我にはかなし
いつの日か打ち明けるのが恐ろしや我があやまちをこの幼子に
幼子の歌を 臥所に聞きながら君の尾鰭が瞼に浮かび
罪深きわれを罰せよ天の川すべてを捨てて星になりたし
やわらかな寝息を立てし幼子の手が握りしはわれの指なり
君が詠む歌こそまこと歌なりと思いてわれはひとり寂しむ
荒れ果てた堂に座りし 御仏の穏やかなるが我は憎らし
いできたる母のおもかげ幼子は深き淵にもたやすく潜り
とびはねて楽しげに舞う幼子のすがたは跳ねる 魚にも似たり