手すりのえらび方【屋外】
住宅内のシーン別におすすめしたい手すりの種類や取付位置をご説明するシリーズ。
これまで玄関、トイレ、浴室についてご紹介しました。
▽過去回が増えてきたので、マガジンにまとめています。
本日、第4回は屋外、アプローチの手すりについて。
『「手すりで転倒予防」をデータで考えてみた。』の回で紹介したのですが、実は自宅の中のどこで転倒した高齢者が多いかというと…
庭、らしいんですよ。ええ、意外なことに。
高齢者の皆さんが健康に、社会参加を続けるために。「外へ出よう!」というお気持ちは大切です。
でも庭は割と危険がいっぱい。雨の日は滑りやすいし、段差もあるでしょうし、暗くなったらと何も見えないし。そして転んだら痛いでしょう・・・固い地面です。
手すりがないと不安だけど、どんな手すりをどのへんにつけたらいいの?という手すり迷子のあなたに!
今回も入門編として、ご説明していきたいと思います。
屋外リフォームのポイント
今回もいきなり「まとめ」の図からどうぞ。百聞は一見に如かずです。
また、屋外で重要視していただきたいのが手すりの素材。
水に強けりゃいいでしょ?と思われがちなのですが、
屋外は粉塵や紫外線などの影響もうける過酷な環境です。
手すりも必ず「それ用」のシリーズをお使いください。
浴室用手すりを屋外で使うのは、ダメ、ゼッタイ。
室内用手すりなんて、もってのほかですよ。
ステンレスの手すりもよく見ますが、夏は熱いし冬は冷たいし、せっかく手すりを取付けても、触れないのでは…
そこで当社がおすすめしている手すり棒の種類は、金属手すり棒の「あちっ!」「つめてっ!」という短所を和らげてくれる樹脂巻手すり棒。
アルミ+樹脂、または鉄+樹脂の組合せがメインです。
ではまとまったところで、もう少し具体的な寸法やアイテムについてみていきましょう。
【住宅改修】屋外手すりの参考取付け位置
横手すりの高さ
手すりの高さや位置は、基本的に室内と同じです。
目安として移動用の横手すりなら高さ750~800mm程度とされたりしますが、ご使用になる方の身体状況や身長によって調整してください。
定番は、使用される方の“大腿骨大転子(だいたいこつだいてんし)”に横手すりの高さをあわせる方法。太ももの骨の一番上にポコッと出た部分ですね。
とはいっても足の長さや手の長さは人それぞれ。例えば手が長い人なら“橈骨茎状突起(とうこつけいじょうとっき)”の高さ位置を基準にすることも。これは手首の下、親指側にあるポコッと出た部分。
どちらの高さが使いやすいか、2パターン試してみてもいいと思います。
杖を使用している方であれば、使い慣れた杖の高さに合わせる方法もアリ。
(そもそも杖を選ぶとき、上記2つのどちらかを基準にしている可能性も大ですし)
公共の建物ではなく、我が家の手すりなのですから。家族が使いやすい高さであればいいと思います。
床から立ち上げる手すり(支柱)
屋外には壁がない(少ない)ことが多いので、支柱式の手すりが主流です。
ただしいわずもがな、土に支柱をぶっさしただけでは強度が足りません。
商品よって基準は異なりますが、コンクリートなどしっかりした床下地が必要です。
また段差部分では、上り用と下り用で適切な高さが違ってきます。
あまり低いと、下りるときに前かがみになって危険。
「下りるときの利き手側」の高さと位置を優先してください。
そりゃあ、左右両側に高さ違いで設置したり、2段式の手すり支柱を設置できれば良いのですが…ご予算もありますしね。
壁付けの手すり(ブラケット)
屋外でも、壁がある場合はブラケットで手すりを固定することもできます。
支柱式より設置できる場所が限られてしまいますがスッキリ納まりますし、ご予算も少な目に済むのが魅力。
扉の前の縦手すりなど、ポイントで手すりが欲しい場合にもいいですね。
この場合、手すりを握る高さは床から1200mm前後とされています。ただし使用される方の身長や身体状況も考えて、その高さをカバーできる取付け位置を確認しましょう。
ただし最近増えているALC(軽量気泡コンクリート)やサイディングなどは、手すりを支えるのに十分な強度があるとは言えません。
(それ用のアンカーなども市販されていますが、当社としては推奨していません)
各商品の説明書やマニュアルをご一読いただき、壁の材質がそれに適しているかを確認してから検討を進めてください。
当社の屋外用手すりの場合、コンクリートだったら大体OKです。
その他、あの手この手
これまで行き来していたところに手すりを付けると、手すり棒が「とおせん棒」になっちゃうことがあります。
家族のための手すりが、いっしょに暮らすご家族の邪魔になってしまうのは悲しい。
そんなときは遮断機のように上げ下げできる、開閉式の手すりにされてみては。
はき出し窓から屋外への出入りを検討する場合は、手すりも必要だけどそれより先に、この高さをどう昇降すんのよ…ってなりますよね。
もちろん踏台と手すりを別々にご用意いただいてもOKですが、2ついっぺんに叶えてくれる商品も市販されています。
【福祉用具】屋外・アプローチでの使用例
工事を伴う屋外用の手すり設置の場合、どうしても室内用手すりより大がかりに、金額も高くなりがちです。
退院で自宅に戻る予定なのに手すりが間に合わない!なんてお話もよく聞きます。
もう少し手軽に手すりが欲しいという場合や、
(悲しいけれど)将来的にはお出かけが難しくなるから使わなくなるかもしれない…という場合は、置くだけ・突っ張るだけの手すりもありますよ。
まとめ
高齢者の方が社会とのつながりを保つためには、外出しやすい環境が重要です。「外へ出る」ことは心と体に大切なこと。
手すり以外にも、安全に外出するには段差の解消・床面のすべり止め・照明計画などポイントがたくさんあります。
転倒すれば大けがにつながりやすいエリアのため、まさに「転ばぬ先」に考えておくことがポイント!
お庭とアプローチのバリアフリー化を検討してみませんか。