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日記 飲み会研修を受けたい

週のはじめの平日というのに会社の飲み会があった。どうかしている。私の部署は毎月最後の日に飲み会をする文化があって、それが何曜日だろうと決行されてしまうというのだ。どうかしている。

そして今回は上半期の最後の月だったので、まわりの部署も巻き込んでいつもよりちょっと良いお店でちょっと良い料理を食べた。いやしい精神の私はせめておいしいものをたくさん食べて帰ろうと思って良いお肉をガツガツと食べた。

基本的に私は大人数の飲み会が苦手である。妻からも親戚で集まって飲んでいる時に「もっと喋りなさいよ」と怒られるくらいだ。

何を話せばいいかわからないと言うと、「普通のことでいいのよ。どんな仕事してるのかとか、休みの日どうしてるとか」と当たり前のように言われるが、普通のことを大人数の中で喋るのが一番苦手なのだ。一対一ならまだ少しは喋れるのだけど、人数が増えると途端に私は黙ってしまう。

しかも私は今営業系の部署にいるので、まわりの人たちはとてもお喋りな人が多い。右側で話が盛り上がり、左側でも話が盛り上がり、私は両サイドを意識しすぎてうまく話に入っていけない。今だ!と思って話してみても、その声はもっと声の大きい酔っ払いの声に簡単にかき消され、私の発言は朝日に溶ける幽霊のようにどこかへ消えてしまうのである。

飲み会での自然な会話講座、みたいな研修があったらぜひ受けてみたいなと思う。自然な会話が苦手な人たちが集まって練習をする研修。でも、その場でも1人だけ話の輪に取り残されてしまったらどうしよう。なんてことを妄想しているうちに、現に両サイドの会話からも取り残されてしまうのだ。目の前のことに集中するんだ私。今はありもしない研修の心配をしている場合じゃない。

その後、見慣れない顔の私を珍しがってくれる神様のような人が声をかけてくれ、その人とあれやこれや話していたら会はお開きとなった。「サラダっていつもどのくらいの量で出てくるかわからないから賭けみたいなところありますよね」みたいなことを話した記憶がある。初対面の話題として良かったのかはわからない。他にも知らない人が多い飲み会だったけど、ほとんど喋らずに終わってしまった。

でも今日の私はここからである。ちゃんとニ次会に行こうと思っていた。ニ次会だと人数も減るし、酔っていて会話が成り立ってなくてもなんとかなるから、私のような人でも誰かと仲良くなれるチャンスがある。二次会こそ頑張るのだ、と意気込んでいると急に強い腹痛を感じた。

たまらずトイレにダッシュ。先ほど食べた良いお肉とアルコールがお腹の中で絶妙なマリアージュを生み出している。私はなんとかマリアージュをトイレに全部流してしまい、長い戦いに勝利をおさめた。積み上げた経験が違うのだよ。我ながらベテランの戦い方であった。

そしてトイレから会場前に戻ると、そこはすでにもぬけの殻だった。ニ次会へ向かう人たちはもう行ってしまったのだった。私は諦めて一人であんかけみたいなドロドロとした足取りで帰りの駅へ歩いた。

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